イスラムの歴史 (2011-10-22)

(2011-10-22)　契約の箱の設置　part 1

　いよいよ神殿の準備が整ったところで、ソロモンは、イスラエルの長老、全ての部族長、イスラエル人諸家系の首長をエルサレムの自分のもとに召集した。「ダビデの町」シオンから契約の箱を担ぎ上げるためである（ダビデの家については(2010-11- 4)　エルサレム攻略／王宮の建設参照。シオンは、ちょうどダビデの町があった場所の地名。また、契約の箱については(2010-11- 8)　神の箱を運び込む　part 1、(2010-11-11)　神の箱を運び込む　part 2、(2011- 2- 7)　神の箱などを参照）。

　エタニムの月（『新共同訳旧約聖書略解』（木田献一監修、日本キリスト教団出版局、２００１年）p.391によれば、現代で言う９～１０月）の祭りに、すべてのイスラエル人がソロモン王のもとに集まった。イスラエルの全長老が到着すると、祭司たちはその箱を担ぎ、神の箱のみならず臨在の幕屋も、幕屋にあった聖なる祭具も全て担ぎ上った。ソロモン王は彼のもとに集まったイスラエルの全共同体と共に、その箱の前でいけにえとして羊や牛を捧げた。その数はあまりにも多く、調べることも数えることもできなかったという。

　祭司たちは契約の箱を定められた場所、至聖所と言われる神殿の内陣に運び入れ、ケルビムの像の翼の下に安置した。ケルビム像は箱のある場所の上に翼を広げ、その箱と担ぎ棒の上を覆う形になった。担ぎ棒は長かったので、内陣の前の聖所からも見えた。

　箱の中には石の板２枚の他には何もなかった。この石の板は、神がエジプトの地から出たイスラエル人と契約を結んだ時に、ホレブでモーセがこの箱に納めたものである（聖書列王記第８章においてはホレブと記されているが、シナイ山のこと。(2008- 3-31)　解説編　マナについて参照）。

　祭司たちが聖所から出ると、雲が神殿に満ちた。その雲のために祭司たちは奉仕を続けることができなかった。神の栄光が神殿に満ちたからである。

　ソロモンは言った。

　「主は、密雲の中にとどまる、と仰せになった。荘厳な神殿を、いつの世にもとどまっていただける聖所を私はあなたのために建てました。」

　王は振り向いて、イスラエルの全会衆を祝福した。イスラエルの全会衆は立っていた。王は言った。

　「イスラエルの神、主はたたえられますように。主は自ら語り、我が父ダビデに約束なさったことを御手をもって成し遂げ、こう仰せになった。『わが民イスラエルをエジプトから導き出した日からこのかた、私の名を置く家を建てるために、私はイスラエルのいかなる部族の町も選ばなかった。私はただダビデを選び、我が民イスラエルの上に立てた。』と。

　父ダビデは、イスラエルの神、主の御名のために神殿を建てようと心掛けていたが、主は父ダビデにこう仰せになった。『あなたはわたしの名のために家を建てようと心掛けてきた。その心掛けは立派である。しかし、神殿を建てるのはあなたではなく、あなたの腰から出る息子が私の名のために神殿を建てる』と。

　主は約束なさったことを実現された。主が約束なさったとおり、私は父ダビデに代わって立ち、イスラエルの王座につき、イスラエルの神、主の御名のためにこの神殿を建てた。また私は、そこに主との契約を納めた箱のために場所を設けた。その契約は、主が私たちの先祖をエジプトの地から導き出されたときに、彼らと結ばれたものである。」

（次回に続く）

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