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(2010-11-8) 神の箱を運び込む part 1 エルサレムを自分の本拠地と定めたダビデは、神の箱をエルサレムに運ぶことにした。神の箱は、モーセが神から授かった十戒を刻んだ岩を収める箱である（(2008- 4-23) 契約の箱参照）。祭司エリがまだ存命の頃に戦われたペリシテ戦争の際、この箱は一度ペリシテ人に奪われ、イスラエル側に返還されてからはキルヤト・エアリムに安置されていた（経緯については(2009-11-26) ペリシテ戦争 part 1〜(2009-12- 3) ペリシテ戦争 part 3参照）。その神の箱を、エルサレムに運び込もうというのである。 そのために３万人の精鋭を集めた、とあるがこれも例によって誇張であろう。だがいずれにせよダビデは軍を動かし、神の箱をキルヤト・エアリムから運び出した（聖書のサムエル記下第６章第２節ではバアレ・ユダから運び出した、とされているが『新共同訳 旧約聖書略解』（木田献一監修、日本キリスト教団出版局、２００１年）p.361の解説ではバアレ・ユダはキルヤト・エアリムと同じ場所である可能性を示唆している）。 ダビデ一行は神の箱を管理していたアビナダブの家から、新しい車に神の箱を乗せて運び出し、糸杉の楽器、竪琴、琴、太鼓、鈴、シンバルを奏でて進んだ。 ナコンの麦打ち場（位置不詳）にさしかかったとき、神の箱を乗せた車を引く牛がよろめいた。とっさにウザという男が押さえるために神の箱に手を伸ばしたところ、たちどころに神の怒りを買ってウザは打たれて死んだ。 「何ということだ。」と言って、ダビデは恐れた。こんな恐ろしい物を自分の町に入れることがはばかられ、ダビデはさしあたり神の箱をガト人オベド・エドムという者の家に保管させた。そうしていったんはエルサレムに引き上げた。すると、それから３ヶ月たつうちにオベド・エドムの一家は神の祝福を受け、財産が大いに増えた。それを伝え聞いたダビデは安心し、やはり神の箱をエルサレムに運び込むことに決めた。再びダビデは兵を率いてオベド・エドムの家から神の箱を運び込むことにした。しかも今度は、神の箱を担ぐ者が６歩進むと肥えた雄牛をいけにえとして捧げる入念さであった。さらにダビデは、麻のエフォド（祭司服）を身につけて、力の限り踊った。ダビデは詠唱者としてヘマン、アサフ、エタンの３名を命じ、一行は喜びの声を上げ、角笛を吹き、シンバルを鳴らし、琴と竪琴を奏でてにぎやかに神の箱を運んだ。 ダビデにすれば、一種の宗教的行為だったのであろうが、しかしエルサレムに入ってくる一行を見ていたミカルは仰天した（ミカルはダビデが先に外交交渉でエシュバアルから取り戻していたサウルの娘。(2010-10-18) アブネル、ダビデの側につく part 2参照）。なんと、ダビデは一行の中で踊り狂っている。その姿には王の尊厳などどこにも見あたらず、密かにミカルはダビデをさげすんだ。 （次回に続く） 参考地図1-6-16：ダビデ、イスラエルの王になる〜エルサレム攻略
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