イスラムの歴史 (2011-6-18)

(2011-6-18)　王位継承の争い　part 1

　それから多くの日々が過ぎ去った。ダビデ王も老人になり、衣を何枚着せられても暖まらなかった。そこで家臣たちは王に言った。

　「我が主君、王のために若い処女を探して、おそばにはべらせてお世話をさせましょう。ふところに抱いてお休みになれば、暖かくなります。」

　彼らは美しい娘を求めてイスラエル領内をくまなく探し、シュネム生まれのアビシャグという娘を見つけて、王のもとに連れてきた。この上なく美しいこの娘は王の世話をし、王に仕えたが、老いた王は彼女と性的関係を持つことはなかった。

　ダビデの人生も晩年を迎えると、いきおい後継者が誰になるのかということが人々の関心を集めた。そんな中、ダビデがハギトとの間にもうけた子であるアドニヤはその野心をむき出しにして言った。「私が王になる。」　そして彼は戦車と馬と５０人の護衛兵をそろえた（アドニヤについては(2010-11- 1)　ダビデ、イスラエルの王になる／ペリシテ軍襲来／ヘブロンで生まれたダビデの息子参照）。

　それまでアドニヤは、父ダビデから「なぜこのようなことをしたのか」などととがめられたことは一度もなかった。彼の体格もまた堂々としており、アブサロムの次に生まれた子であった。ダビデに生まれた子供については(2010-11- 1)　ダビデ、イスラエルの王になる／ペリシテ軍襲来／ヘブロンで生まれたダビデの息子に記載されているが、長男アムノンは三男アブサロムに殺され、そのアブサロムもまた先の反乱で死んでいた。通常であればアビガイルとの間に生まれた次男キルアブが王位継承については優先されるであろうが、聖書では言及がない。このことから早世したのではないか、と見る向きもあるが定かではない。そしてその次に王位継承が優先されるべきなのが、四男のアドニヤであった。

　アドニヤはダビデの将軍ヨアブと祭司アビアタルに話をもちかけ、この二人の支持を得た（アビアタルは、ダビデがアブサロムの難を逃れてエルサレムを脱出する際に、諜者としてエルサレムに潜伏させた祭司の一人。(2011- 2- 7)　神の箱参照）。

　しかし、祭司ツァドク、ヨヤダの子ベナヤ、預言者ナタン、シムイ、レイ、そしてダビデの勇士たちはアドニヤに与しなかった。（祭司ツァドクも、ダビデがアブサロムの難を逃れてエルサレムを脱出する際に、諜者としてエルサレムに潜伏させた祭司。(2011- 2- 7)　神の箱参照。預言者ナタンはたびたびダビデに進言・諫言している預言者。(2010-11-15)　ナタンの預言（ダビデ契約）　part 1や(2010-12-23)　ダビデとバト・シェバ　part 5を参照。シムイは、ダビデがエルサレムを落ち延びていく際に呪いの言葉を投げつけ、後に赦された男。(2011- 2-14)　ダビデとシムイ、(2011- 4-16)　ダビデ、ヨルダン川を渡る　part 1参照。ヨヤダの子ベナヤは、(2010-11-25)　ダビデの戦争　part 2において、クレタ人とペレティ人を監督する監督官として言及されている。）

（次回に続く）

参考地図1-6-24：王位継承の争い

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