イスラムの歴史 (2011-6-25)

(2011-6-25)　王位継承の争い　part 2

（前回からの続き）

　アドニヤは、エン・ロゲル（エルサレムのダビデの町の南にある、ヨブの泉のこと）の近くにあるゾヘレトの石のそばで、羊、牛、肥えた家畜を屠ってささげ、王子である自分の兄弟たち、王の家臣であるユダの人々をことごとくそこに招いた。しかし、預言者ナタン、ベナヤ、ダビデの勇士たち、自分の兄弟ソロモンは招かなかった。招かなかったのは、これらのグループが自分に対抗してくることを予想してのことだったのだろうか。

　一方、預言者ナタンはアドニヤの動きを知り、ソロモンを擁立すべく政治工作を開始した。まずナタンはソロモンの母であるバト・シェバのところに行き、言った。

　「お聞きになってはいませんか。我らの主君、ダビデの知らないうちに、ハギトの子アドニヤが王となったということを。あなたの命とあなたの子ソロモンの命が助かるように、私の言うことをすぐさま実行しなさい。直ちにダビデ王のもとに行って、こう言いなさい。『我が主君、王よ、はしためにお誓いになったではありませんか。あなたの子ソロモンが私の跡を継いで王となり、私の王座につくと。なぜ、アドニヤが王になったのでしょうか。』　あなたが王と話し合っている間に私も続いて入り、あなたの言葉を確認します。」

　さっそくバト・シェバは王の部屋を訪ねた。すると、非常に年老いた王は、シュネム生まれのアビシャグの世話を受けていた（アビシャグはこの話の冒頭で、家臣たちがダビデのために探してきた若い娘）。バト・シェバは王の前にひざまずいて礼をした。王が「どうしたのか」と尋ねると、バト・シェバは言った。

　「我が主君、王よ、あなたの神、主にかけてあなたはこのはしためにお誓いになりました。『あなたの子ソロモンが私の跡を継いで王となり、私の王座につく』と。ところが今、アドニヤが王となりました。我が主君、王よ、あなたはそのことをご存じではありません。アドニヤは雄牛や肥えた家畜や羊を数多く屠って捧げ、すべての王子、祭司アビアタル、軍の司令官ヨアブを招きました。しかし、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。我が主君、王よ、我が主君であられる王の跡を継いで誰が王座につくのかお示しになることを、全てのイスラエルは注目しています。このままで、我が我が主君、王が先祖と共に眠りにおつきになれば、私と我が子ソロモンは反逆者になってしまいます。」

（次回に続く）

参考地図1-6-24：王位継承の争い

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