イスラムの歴史 (2011-2-7)

(2011-2-7)　神の箱

　ダビデのエルサレム脱出にあたり、レビ人の祭司たちも同行していた。ツァドクという祭司もまた同行していたが、彼らは神の箱を運んでいた。祭司アビアタルも来ていた（ツァドクについては、(2010-11-25)　ダビデの戦争　part 2でも触れられている。アビアタルは、先王サウルがノブの祭司たちを虐殺した際に唯一生き延び、ダビデに合流した祭司。(2010- 6-14)　虐殺　part 3参照）。

　聖油を注がれたダビデがエルサレムを脱出するのである。当然のように、彼らは神の箱をダビデと共に運ぶつもりでいた。神の箱はモーセが授かった石板を収めた箱で（(2010-11- 8)　神の箱を運び込む　part 1等を参照）、イスラエルにとって宗教的権威である。ダビデと共に運べば、今後のアブサロムとの戦いにおいて有利な影響をもたらすことは間違いなかった。祭司たちは、兵士全員がエルサレムを去るまで、神の箱を地面に下ろしていた。

　だが、祭司たちが神の箱を運んでいることを目撃したダビデは、それを知るとツァドクに命じて言った。

　「神の箱は都に戻せ。」

　驚く祭司たちにダビデは続けて言った。

　「もしも私が主の御心に適うのであれば、主は私をエルサレムに戻し、神の箱とその住みかを見せてくださることであろう。だが、もし主が私を見放されるのであれば、主が望まれる運命を私にくだされるように。」

　ダビデの決意が固いことを見て取ったツァドクは、ダビデにひれ伏した。ダビデは続けて言った。

　「分かったか。平和のうちに、エルサレムに戻ってほしい。そして、あなたの息子アヒマアツと、アビアタルの子ヨナタンも、一緒に連れて帰るのだ。」

　そして、ダビデは言った。「よいか。私はあなたたちからの知らせを受けるまで、荒れ野の渡し場で待っている。」

　ダビデの命を受けたツァドクとアビアタルは、それぞれの息子を連れ、神の箱と共にエルサレムに戻った。

（サムエル記下第１５章第２４節～第２９節より）

参考地図1-6-21：アブサロムの反乱

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