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(2016-5-7) イスラエルの王ヨアシュ ところで、ヨアシュ王の時代には、少し国際情勢が変わったようである。『聖書時代史−旧約篇 アダドニラリはこの遠征で、ダマスコを征服した。北イスラエル王国の立場からすれば、しばしば自分たちに侵攻・圧迫してきたアラムの王が取り除かれたことに、小躍りしたことだろう。北イスラエル王ヨアシュは直ちにアダドニラリ３世に朝貢し、アッシリアの保護下に入った。この話は旧約聖書には書かれていないが、前出『聖書時代史−旧約篇』p.126によれば、1967年にテル・エル・リマで出土したアダドニラリ３世の碑文によって確認できるという。 実際、列王記下第１３章第２２節〜第２５節では、それを示唆する話が描かれている。短いので、全文を引用しよう。 「アラムの王ハザエルはヨアハズの生きている間、絶えずイスラエルに圧迫を加えた。しかし、主はアブラハム、イサク、ヤコブと結んだ契約のゆえに、彼らを恵み、憐れみ、御顔を向け、彼らを滅ぼそうとはなされず、今に至るまで、御前から捨てることはなさらなかった。アラムの王ハザエルは死んで、その子ベン・ハダドが代わって王となった。ヨアハズの子ヨアシュは、父ヨアハズの手から奪い取られた町々を、ハザエルの子ベン・ハダドの手から取り返した。ヨアシュは三度彼を撃ち破り、イスラエルの町々を取り返した。」 聖書ではアダドニラリ３世の話は直接には言及していない。だが、父ヨアハズの時代にはかなりアラム軍に圧迫されていたのに、ヨアシュの時代には三度、アラム軍を撃破したと記している。この時代にはアラム軍が弱体化していたことを示唆していると言えよう。 参考地図1-7-22：イスラエルの王ヨアハズ〜イスラエルの王ヨアシュ
参考地図1-7-23：イスラエルの王ヨアシュ（広域図）
参考表 この時期の南北朝の王
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』（山我哲雄、岩波書店、２００３年）p.126によれば、アッシリアのシャルマナサル３世の孫に当たるアダドニラリ３世（在位紀元前810年〜紀元前783年）が、紀元前806年から紀元前802年にかけて、そして紀元前796年の２回、シリア方面に遠征してきた（シャルマナサル３世については
