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(2015-4-4) イエフの謀反 part 6 （前回からの続き） 話は少し戻る。北イスラエル王ヨラムを殺し、南のユダ王アハズヤを追い払ったイエフは、イズレエルの町に入った。イズレエルにはヨラム王の母イゼベルがいた。イゼベルは、預言者エリアが生きていた頃、北イスラエル国内の預言者を粛清し（(2012- 4-21) 預言者エリヤ part 1参照）、夫アハブ王をそそのかしてナボトのぶどう畑を詐取した人物である（(2012- 8- 4) ナボトのぶどう畑 part 1及び(2012- 9- 2) ナボトのぶどう畑 part 2参照）。 イエフがイズレエルの町に入ってきた知らせを受けたイゼベルはと言えば、まだ悠長なものだった。息子が殺されたにも関わらず彼女の認識では、事態は夫の部下の単発的な反乱でしかなかった。彼女は目に化粧をして髪を結うと、自分の滞在していた建物の窓辺に立ってイエフが来るのを待った。彼女は、世の中が自分に味方していることを疑っていなかった。 イエフが入城してくるのを見届けたイゼベルは、高いところから彼を見下ろし、挑発的な態度で言った。「主人殺しのジムリよ、ご無事でいらっしゃいますか。」 （ジムリは主君エラを殺しながらも７日後には自分自身も暗殺された。((2012- 4- 7) バシャ家、滅ぶ／オムリ、北イスラエルの王になる参照。） 主君を殺しながらも敢え無い最期を遂げたジムリにイエフをたとえることで、お前も間もなく死ぬのだ、なぜ無謀な反乱を起こしたのか、という皮肉をイゼベルは込めたつもりだった。北イスラエル国が自分に従うと思っていればこそ、イゼベルはそのように言ったのであろう。それに対してイエフは、イゼベルが立つ窓辺を見上げて叫んだ。「誰か私の味方になる者はあるか。誰か居ないのか！」 誰も味方しなければ、イズレエルの町の外に展開している軍を町に突入させるしかない。そう思いながら、イエフは叫んだ。すると、２、３人の宦官がイエフを見下ろした。 その表情から、彼らが自分の言うとおりに動きそうなことを察知したイエフは、彼らに向かって叫んだ。「その女を突き落とせ！」 町はイエフの軍に包囲されている。イエフに味方するか。それとも、イゼベルについていくのか。どちらかについたとして、賭に勝てば生き延び、負ければ殺される。その一瞬の判断と、イゼベルの人望、日頃からの感情・・・。イエフに呼応した宦官たちは、イエフに従うことにした。３人の宦官のうちの一人が残りの二人に目配せすると、彼らは一斉にイゼベルを囲み、彼女を建物から突き落とした。 彼女が落ちた場所の付近には馬がいた。上から人間が降ってきたことに驚いたその馬は、驚いていななき、興奮して暴れ回り、彼女を踏みつけた。建物から落下しただけでもひどい負傷だったが、イゼベルはこれでとどめを刺され、息絶えた。 その場は一時騒然となったが、イエフは場が収まるとヨラムの家に入り、食事を用意するように命じた。食事が済むと、イエフは言った。「あの呪われた女の面倒を見てやれ。彼女も王女だったのだから、葬ってやるがよい。」 だが、人々が彼女を葬ろうとして行くと、そこには彼女の頭部と両足、両手しかなかった。彼らが帰ってそのことを知らせると、イエフは言った。「これは主の言葉のとおりだ。主はそのしもべティシュベ人エリヤによってこう言われた。『イゼベルの肉は、イズレエルの所有地で犬に食われ、イゼベルの遺体はイズレエルの所有地で畑の面にまかれた肥やしのようになり、これがイゼベルだとは誰も言えなくなる。』」 （(2012- 9- 2) ナボトのぶどう畑 part 2参照） （列王記下第８章第２５節〜第９章第３７節より） 参考地図1-7-19：イエフの謀叛
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