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(2012-8-4) ナボトのぶどう畑 part 1 さて、北イスラエルとアラムの戦いが史実ではなかったかもしれないが、これから書く話は聖書中の物語ではその戦いの後の物語になる。 イズレエルの人ナボトは、イズレエルにぶどう畑を持っていた。畑はアハブ王の宮殿のそばにあった。北イスラエルの首都はサマリアであるが、それとは別に、アハブ王はイズレエルにも住居を持っていたのであろう。あるとき、アハブはナボトに話を持ちかけた。 「お前のぶどう畑を譲ってくれ。私の宮殿のすぐ隣にあるので、それを私の菜園にしたい。その代わり、お前にはもっと良いぶどう畑を与えよう。もし望むなら、それに相当する代金を銀で支払ってもよい。」 すると、ナボトは王に答えて言った。「先祖から伝わる嗣業の土地を譲ることなど、主にかけて私にはできません。」 ナボトの返事にアハブは機嫌を損ね、腹を立てて宮殿に帰っていった。寝台に横たわったアハブは顔を背け、食事も取らなかった。心配した妻のイゼベルが来て、「どうしてそんなに御機嫌が悪く、食事もなさらないのですか。」と尋ねた。アハブは妻に言った。「イズレエルの人ナボトに、彼のぶどう畑を私に銀で買い取らせるか、あるいは望むなら代わりの畑を取り替えさせるか、いずれにしても譲ってくれと申し入れたが、畑は譲れないというのだ。」 妻のイゼベルは王に言った。「今、イスラエルを支配しているのはあなたです。起きて食事をし、元気を出してください。私がイズレエルの人ナボトのぶどう畑を手に入れてあげましょう。」 イゼベルはアハブの名で手紙を書き、アハブの印を押して封をし、その手紙をナボトのいる町に住む長老と貴族に送った。その手紙には、こう書かれていた。「断食を布告し、ナボトを民の最前列に座らせよ。ならず者を二人彼に向かって座らせ、ナボトが神と主を呪った、と証言させよ。こうしてナボトを引き出し、石で打ち殺せ。」 手紙を受けて長老と貴族たちは対応を協議し、その是非について議論にはなったが、王命である以上、従うよりほかはないという結論になった。こうして彼らは断食を布告し、それとなくナボトを民の最前列に座らせた。手はずどおり、ならず者も二人来てナボトに向かって座った。 断食が始まった。その途中、ならず者たちは突然立ち上がり、民に向かって大声で言った。「ナボトは神と主を呪った。」 そんなことはない、とナボトは否定したが、どこからともなく「そのとおりだ」という声があがり、やがてナボトを非難する声が巻き起こり始めた。ナボトが当惑していると、追い打ちをかけるように誰かが言った。「ナボトを石で打ち殺せ。」 ナボトが愕然としているうちにも「そうだ、そうだ。」という声が続々と上がり、民はナボトを捕らえると、町の外に連れて行った。 （次回に続く） 参考地図1-7-8：ナボトのぶどう畑
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