イスラムの歴史 (2009-11-19)

(2009-11-19)　預言者サムエルの誕生　part 4

（前回からの続き）

　エリは年老いていた。彼は自分の息子たちがイスラエルの人々に行っていることの一部始終を耳にした。それに彼らが臨在の幕屋（神をまつる特別な天幕。モーセの時代にさかのぼる。(2008- 4-28)　民の不満　part 2参照）の入り口で仕えている女たちとたびたび床を共にしていることも伝え聞いた。エリは２人の息子を呼んで言った。

　「なぜそのようなことをするのだ。私はこの民のすべての者から、お前たちについて悪いうわさを聞かされている。息子らよ、それはいけない。主の民が触れ回り、私の耳にも入ったうわさは良くない。人が人に罪を犯しても、神が間に立ってくださる。だが、人が主に罪を犯したら、誰がとりなしてくれよう。」

　しかし、彼らは父の声に耳を貸そうとしなかった。

　ある日、祭司エリは自分の部屋で床に就いていた。彼は目がかすんできて、見えなくなっていた。まだともし火は消えておらず、サムエルは神の箱（＝契約の箱。モーセが造ったものとされる。(2008- 4-23)　契約の箱参照）が安置された神殿に寝ていた。

　すると、神がサムエルを呼んだ。

　何か声が聞こえたサムエルは、てっきり祭司エリが彼を呼んだのだと思った。彼は「ここにいます。」と言って、エリのもとに走っていき、「お呼びになったので参りました。」と言った。しかしエリは「私は呼んでいない。戻っておやすみ。」と言ったので、サムエルは戻って寝た。

　すると、再び神がサムエルを呼んだ。

　サムエルはエリに呼ばれたものと思い、また起きてエリのもとに行き、「お呼びになったので参りました。」と言った。しかしエリは「私は呼んでいない。わが子よ、戻っておやすみ。」と言った。

　サムエルはそれが神の声だとはまだ気付かなかった。

（次回に続く）

←前の記事へ　　　次の記事へ→