イスラムの歴史 (2019-10-5)

(2019-10-5)　ゲダルヤの暗殺　part 2

（前回からの続き）

　ゲダルヤ暗殺の翌日、まだ暗殺のことを誰も知らないうちに、シケム、シロ、サマリアから来た80人の一行が、ひげをそり、衣服を裂き、身を傷つけた姿で通りかかった。彼らは、主の神殿にささげる供え物と香を携えていた。イシュマエルは彼らを迎えた。彼は泣きながら歩いて近づいていき、彼らに会うと、「アヒカムの子ゲダルヤのもとへおいでください」と言ってミツパへ誘った。一行が町の中に入ると、イシュマエルは家来たちと共に彼らを殺し始めた。

　しかし、一行の中にいた10人の者は、「我々を殺さないでください。小麦、大麦、油、蜜など貴重なものを畑に隠していますから」とイシュマエルに哀願したので、この10人だけは殺さずにおいた。殺した70人の死体は、穴の中にほうり込んだ。その穴は、アサ王がイスラエルの王バシャの攻撃に備えて掘ったものであった（穴を掘ったことへの言及は無いが、２人の戦いについては(2012- 3-31)　アサとバシャの戦い参照）。その穴をイシュマエルは死体で満たした。

　ミツパには、王の娘たちも含めて、民の残留者がいたが、イシュマエルはこれらの民をすべて捕虜とした。イシュマエルは彼らを引き立てて、アンモン人のもとに逃れようと出発した。カレアの子ヨハナンをはじめとする軍の長は皆、イシュマエルが行った悪事を聞き、直ちに、すべての兵を率いてイシュマエルと戦うために出発し、ギブオンの大池のほとりで彼に追いついた（ギブオンの大池は、その昔、ダビデ軍のヨアブとサウル軍のアブネルが戦った場所でもある。(2010-10- 4)　イスラエルとユダの戦い　part 1参照）。

　イシュマエルに捕らえられていた人々は皆、ヨハナンと軍の長たちの姿を見て歓喜した。イシュマエルがミツパから捕虜として連行した人々は、一斉に身を翻してヨハナンのもとに逃げてきた。形勢不利とみたイシュマエルは、８人の部下と共に逃げ、アンモン人のもとへ去っていった。イシュマエルのその後については、不明である。

　ヨハナンと、彼と共にいたすべての軍の長たちは、イシュマエルのもとから救い出した民すべてをミツパから連れて出発し、ベツレヘムに近いキムハムの宿場にとどまった。

　ゲダルヤが暗殺され、これからどうするか。しかもイシュマエルは、ゲダルヤと一緒にいたバビロニア人までも殺してしまっていた。人々は、バビロニアによる報復を恐れた。逃げるしかない。どこへ？　人々は、エジプトへ逃げる案を考え始めた。

（エレミヤ書第４０章第９節～第１６節より）

参考地図1-9-2：ゲダルヤの暗殺
　

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