イスラムの歴史 (2019-9-28)

(2019-9-28)　ゲダルヤの暗殺　part 1

　ゲダルヤは、彼らとその部下たちに誓って言った。「カルデア人（バビロニア人）に仕えることを恐れてはならない。この地にとどまり、バビロンの王に仕えなさい。あなたたちは幸せになる。この私がミツパにいて、やがて到着するカルデア人と応対しよう。あなたたちはぶどう酒、夏の果物、油などを集めて貯蔵し、自分たちの確保している町々にとどまりなさい。」

　エルサレム包囲戦のために新バビロニア軍が侵攻してきた際、モアブ、アンモン、エドムなどの国々に避難していたユダヤ人たちも、ミツパにいるゲダルヤのいるミツパに集まり始めた。彼らはゲダルヤの言葉に従い、ぶどう酒と夏の果物を多く集めた。

　ときに、カレアの子ヨハナンと、野にいた軍の長たちがそろってミツパにいるゲダルヤのもとに来て、言った。「アンモンの王バアリスが、あなたを暗殺しようとして、ネタンヤの子イシュマエルを送り込んでいるのをご存じでしょうか。」　しかし、ゲダルヤは彼らの言うことを信じなかった。

　カレアの子ヨハナンはミツパで極秘にゲダルヤに進言した。「あなたが暗殺され、ここに集まって来たユダの人々が、またちりぢりになり、ユダの残留者が滅びてしまってもよいのですか。私が行って、だれにも知られないようにネタンヤの子イシュマエルを殺して来ます。」　だが、ゲダルヤは取り合わなかった。ゲダルヤはヨハナンに言った。「そのようなことをしてはならない。イシュマエルについてあなたの言うことは誤りだ。」

　ところが、ヨハナンの懸念が実現してしまう。７月に、イシュマエルが10人の部下を率いてミツパに赴きゲダルヤを訪ねてきて、ゲダルヤと共に食事をした。その食事の最中、イシュマエルと10人の部下は、突然ゲダルヤに襲いかかって、剣にかけて殺してしまった。エレミヤ書第４１章第１節によれば、イシュマエルは「王族の一人で、王の高官でもあった、エリシャマの孫でネタンヤの子であるイシュマエル」と表現されている。王族であるにもかかわらずゲダルヤの下で働くことは、彼の自尊心が許さなかったのかもしれない。なお、イシュマエルの祖父エリシャマは、もしかしたら(2018-10- 6)　エレミヤ、巻物を燃やされる　part 3で登場する書記官エリシャマと同一人物かもしれない（聖書中では断定的な表現はない）。

　続いてイシュマエルは、ゲダルヤと一緒にミツパにいたユダのすべての人々（おそらく、ゲダルヤの部下）と、そこに占領軍として駐留していたバビロニア人を打ち殺した。

（次回に続く）

参考地図1-9-2：ゲダルヤの暗殺
　

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