イスラムの歴史 (2012-7-14)

(2012-7-14)　イスラエルとアラムの戦い　part 3

（前回からの続き）

　それからしばらくの時が流れたある日、かの預言者がイスラエルの王に近づいてこう言った。「勇気をもって進め。あなたは為すべきことをわきまえ知れ。年が改まるころ、アラムの王はあなたに向かって攻めてくる。」　先の戦いもこの預言者の言葉に従い勝利を収めていたため、アハブは今回もこの預言者の進言を容れ、来るかもしれない戦いに備えることにした。

　一方のアラムでは、ベン・ハダドの家臣たちが王に進言していた。「彼らの神は山の神だから、彼らは我々に対して優勢だったのです。もし平地で戦えば、我々の方が優勢になるはずです。王はこうすべきです。王侯たちをそれぞれの地位から退け、その代わりに長官を置き、失った兵員、軍馬、戦車に等しい兵員、軍馬、戦車を補充するのです。我々は平地で戦いましょう。我々の方が優勢になるはずです。」

　実際にはイスラエルの神は山の神というわけではない。イスラエルの神ではない異神のことを指しているのかは不明だが、とにかくベン・ハダドは家臣たちの意見を採り入れ、戦争の準備を進めた。

　年が改まったころ、ベン・ハダドはアラム軍を召集し、イスラエルと戦うためにアフェクに上ってきた。アラム軍来襲の知らせを受け、アハブはイスラエルの人々を召集し、兵糧も整えて敵を迎え撃つために進んだ。イスラエルの人々は敵に向かって二つの小さな山羊の群れのように陣を敷いたが、アラム軍はその地に満ちていた。

　そのとき、預言者が近づいてアハブに言った。「主はこう言われる。『アラム人は主が山の神であって平野の神ではないと言っているので、私はこの大軍をことごとくあなたの手に渡す。こうしてあなたたちは、私こそ主であることを知る。』」

　両軍は陣を張って７日間対峙した。７日目になって戦いを交え、イスラエル軍は１日でアラムの歩兵１０万人を打ち倒した（人数については例によって誇張の可能性が高い）。敗残兵はアフェクの町に逃げ込んだが、その敗残兵27000人の上に城壁が崩れ落ちた。城壁の崩壊はヨシュアの故事を連想させる（(2008- 8-28)　エリコ攻略戦　part 1参照）。ベン・ハダドも逃げてこの町に入り、部屋から部屋へと逃げ回った。ベン・ハダドの家臣たちは彼に言った。「イスラエルの家の王は、慈しみ深い王であると聞いています。腰に粗布あらぬのを巻き、首に縄をつけてイスラエルの王のもとに出て行きましょう。あなたの命を助けてくれるかもしれません。」

（次回に続く）

参考地図1-7-7：イスラエルとアラムの戦い

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