イスラムの歴史 (2012-6-3)

(2012-6-3)　預言者エリヤ　もう一つの物語　part 1

　以下の話は、聖書の中ではエリヤ対バアルの預言者の話の後に載っているが、おそらくは前回までの話とは別のバージョンのエリヤに関する話だと思われる。

　先に書いたように、アハブ王の妃イゼベルは、北イスラエル国内の預言者を皆殺しにしていた。北イスラエル国内で生き残った預言者はエリヤただ一人となっていた。イゼベルは、エリヤに使いの者を送って自分の言葉を伝えさせた。「イゼベル様はこうおっしゃいました。『私が明日のこの時刻までに、お前の命をあの預言者たちのようにしていなければ、神々が幾重にも私を罰してくださるように。』と。」

　それを聞いたエリヤは恐れ、ただちに逃げた。彼は南を目指した　－　南王国ユダに入り、さらにその南端ベエル・シェバに来た。彼は自分の従者をそこに残すと、自分は荒れ野に入り、さらに１日の道のりを歩き続けた。彼は一本のえにしだの木の下に来て座り、自分の命が絶えるのを願って言った。「主よ、もう十分です。私の命を取ってください。私は先祖に勝る者ではありません。」　彼はえにしだの木の下で横になって眠ってしまった。

　どれぐらいの時間が経っただろうか。ふと、彼に触れる者がいて、エリヤは目覚めた。そこには、神の使いがいた。神の使いは言った。「起きて、食べよ。」　エリヤが起き上がって見ると、枕元に焼き石で焼いたパン菓子と水の入った瓶があった。エリヤはそのパン菓子を食べ、水を飲んだ。いつの間にか神の使いは居なくなっていた。エリヤはパン菓子を食べ終えると、また横になった。

　気が付くと、また神の使いがエリヤに触れて言った。「起きて食べよ。この旅は長く、あなたには耐え難いからだ。」　エリヤが起きて見ると、またそこには食べ物が用意されていた。エリヤはまた食べて飲んだ。

　その食べ物に力づけられたエリヤは、それから４０日４０夜歩き続け、ついに神の山ホレブにたどり着いた。モーセが律法を授かった山である（(2008- 4- 2)　神の山に着く以降参照）。エリヤはそこで洞穴を見つけるとそこに入り、夜を過ごした。

　するとその夜、神の言葉がエリヤに臨んだ。「エリヤよ、ここで何をしているのか。」　エリヤは答えて言った。「私は万軍の神、主に情熱を傾けて仕えてきました。ところが、イスラエルの人々はあなたとの契約を捨て、祭壇を破壊し、預言者たちを剣にかけて殺したのです。私一人だけが残り、彼らはこの私の命をも奪おうと狙っています。」

（次回に続く）

参考地図1-7-6：預言者エリヤ　もう一つの物語

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