イスラムの歴史 (2011-3-7)

(2011-3-7)　会戦の準備

　ヨルダン川を渡ったダビデ一行は北上し、マハナイムに落ち着いた。マハナイムは、かつてサウルの息子エシュバアルの亡命政権が拠点とした町である（(2010-10- 4)　イスラエルとユダの戦い　part 1参照）。同じ頃、アブサロムはダビデを攻めるべく軍を率いてヨルダン川を渡っていた。アブサロムは、ダビデとともに総司令官ヨアブがエルサレムを去ってから、アマサを軍の司令官に任命していた。アマサの母はヨアブの母と姉妹で、ヨアブとアマサは従兄弟同士にあたった。

　ダビデがマハナイムに到着すると、土地の有力者たちが援助物資を持って到着した。ラバ出身のショビ、ロ・デバル出身のマキル（聖書では明示されてはいないが(2010-11-29)　ダビデとメフィボシェトに登場するマキルと同一人物か）、ロゲリム出身のギレアド人バルジライが、寝具、たらい、陶器、小麦、大麦、麦粉、炒り麦、蜂蜜、凝乳、羊、チーズをダビデとその兵に差し出した。兵士が荒れ野で飢え、疲れ、渇いているに違いないと思ったからである。

　ダビデは３人に厚く礼を言い、物資を軍に行き渡らせた。同じ頃ダビデは、アブサロムが軍を率いてヨルダン川を渡ったとの知らせを受け取った。ダビデは、ここで反転して迎撃に転じ、できうることならアブサロムを捕らえることを試みることにした。いつまでも逃げていても、埒があかない。ダビデは彼に従う兵を調べ、千人隊の長と百人隊の長を任命した。ついでダビデは兵士を３部隊に分け、１つをヨアブの指揮下に、もう１つをヨアブの弟アビシャイの指揮下に、残る１つをガト人イタイ（(2011- 2- 3)　ダビデとガト人イタイ参照）の指揮下に置いた。

　編成が終わるとダビデは兵士たちに言った。「私もお前たちと共に出陣する。」

　すると兵士たちは言った。

　「出陣なさってはいけません。我々が逃げ出したとしても、彼らは気にも留めないでしょうし、我々の半数が戦死しても気に留めないでしょう。しかしあなたは我々の一万人にも等しい方です。今は町にとどまり、町から我々を助けてくださる方がよいのです。」

　兵士の言うことはもっともだったので、ダビデは言った。

　「よかろう。私はお前たちの目に良いと映ることをしよう。」

　そうして王は町の城門の傍らに立ち、兵士たちが出陣していくのを見守った。

　町を出て行くヨアブ、アビシャイとイタイにダビデは言った。「どうか、あの青二才アブサロムを手荒には扱わないでくれ。頼む。」

　そうして、ダビデが３人の指揮官にこのように命じているのを、多くの兵士が聞いていた。

（サムエル記下第１７章第２４節～第１８章第５節より）

参考地図1-6-21：アブサロムの反乱

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