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(2012-2-25) エジプト軍の来襲 part 1 一方の南王国（ユダ）では、すでに述べたとおりソロモンの子レハブアムが王位に就いていた。レハブアムの母の名はナアマといい、アンモン人であった。 北イスラエルではヤロブアムが金の子牛をつくったりレビ人ではない祭司を任命したりしていたが、ユダ国でも律法に背くことを行っていた。彼らもまたあらゆる高い丘の上と茂った木の下に、聖なる高台を築き、石柱、アシェラ像を建てた。その地には神殿男娼さえいたという。彼らは、諸国の民の慣習に従った。
レハブアムの治世の５年目に、事件が起こる。エジプトの王シェションク１世（シシャク）がエルサレムに攻め上ってきたのである。少しずつ、南北の王国が国際的な力学に飲み込まれ始めようとしていた。 シェションク１世は、すでに述べたように、北イスラエルの王ヤロブアムがソロモンの手を逃れてエジプトに避難していたときのファラオである（(2011-12-31) 敵対する者たち／ソロモンの死 part 2参照）。シェションク１世は、エジプトの第２２王朝を開いたリビア人の王であった。モーセがエジプトを脱出した時代のラメセス２世が属する第１９王朝の栄光も遠く、エジプトでは軍事的にリビア人・ヌビア人などの傭兵にも頼るようになり、その影響力も増大していた。そんな中でリビア人であるシェションク１世が下エジプト（エジプト北部）を支配するようになったのである。紀元前950年頃がその始まりとされる（『世界の歴史１ 人類の起原と古代オリエント』（大貫 良夫・前川和也・渡辺和子・屋形禎亮著、中央公論新社、１９９８年）p.527）。 聖書の歴代誌下によれば、シェションク１世は戦車1200両、騎兵６万を率いてきたようである。また、リビア人、スキイム人、クシュ人の兵も数え切れないほど動員していた。彼はユダの砦の町を次々と陥れ、エルサレムに迫った。 預言者シェマヤ（(2012- 2- 5) 王国の分裂 part 2でも登場）が、エルサレムに集まっているレハブアムとユダの将軍たちのところに来て言った。「主はこう言われる。『あなたたちは私を捨てた。私もあなたたちを捨て、シシャクの手に渡す。』」 イスラエルの将軍たちは王と共にへりくだって言った。 「主は正しい。」 するとシェマヤに再び神の言葉が臨んだ。シェマヤは言った。「彼らがへりくだったので、私は彼らを滅ぼさず、間もなく彼らに救いを与える。私の怒りをシシャクの手によってエルサレムに注ぐことはしない。ただし、彼らはシシャクに仕える者となり、私に仕えることと、地の王国に仕えることとの違いを知ることになる。」 やがてエルサレムにシェションク１世とその軍が押し寄せてきた。その際の詳しいやりとりは聖書には書かれておらず、結果だけが記されている。シェションク１世はエルサレムの神殿にあった宝物をすべて奪った。その中には、ソロモンがつくった金の盾（(2011-12-10) ソロモンの富、通商参照）も含まれる。ソロモンは金の大盾を200個、小盾を300個つくったとされるが、それらすべてをエジプト軍は奪って去っていった。直接には聖書には記載されていないが、ヤロブアムは宝物を献上し、服従することで破滅を免れたのであろう。エジプト軍が去った後、レハブアムは金の盾の代わりに青銅の盾をつくり、近衛兵の長たちの手に託した。以来、レハブアムが神殿にくると、近衛兵たちは金の盾の代わりに青銅の盾を持った。 （次回に続く） 参考地図1-7-2：エジプト軍の来襲
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