|
(2012-2-5) 王国の分裂 part 2 （前回からの続き） 民になめられてはいけない、という思いもあったのだろうか。結局レハブアムは、長老たちの意見ではなく、自分と親しい若者たちの意見を採用した。 ３日後、北イスラエルの民はヤロブアムと共にまたレハブアムのところにやってきた。レハブアムは北イスラエルの民に言った。 「父がお前たちに重いくびきを負わせたのだから、私はさらにそれを重くする。父がお前たちをムチで懲らしめたのだから、私はサソリで懲らしめる。」 レハブアムは民の願いを聞き入れなかった。 北イスラエルのすべての人々は、レハブアムが自分たちの言葉に耳を貸さないことに怒って言った。「ダビデの家に我々の分け前があるのだろうか？ エッサイの子(*)から受け継ぐべき遺産は我々には無い。イスラエル（北イスラエルを指す）の人々よ、自分の天幕へ帰れ。ダビデ（一族の者）よ、自分の家のことは自分で面倒を見るがいい。」 そう言い放つと、北イスラエルの人々はレハブアムを置いて、自分たちの家へ帰りはじめた。交渉決裂である。
驚いたレハブアムは、北イスラエルの人々を呼び止めるために労役の監督アドラムを送った。アドラムは北イスラエルの人々に呼びかけたが、それに対して北イスラエルの人々は一斉に石を投げつけ始め、そうしてついにはアドラムが倒れた。それでも人々は石を投げつけるのを止めず、やがてアドラムを殺してしまった。 身の危険を感じたレハブアムは慌てて戦車に乗り込み、エルサレムへ逃げ帰った。こうして北イスラエルの部族はレハブアムを離れ、レハブアムは単にユダ族の王となった。ダビデ、ソロモンの王国はいとも簡単に分裂してしまったのである。 北イスラエルの人々は、ヤロブアムを自分たちの王として立てた（在位 紀元前926〜紀元前907年）。結局、シロのアヒヤがヤロブアムに預言したとおりになったのである（(2011-12-31) 敵対する者たち／ソロモンの死 part 2参照）。 エルサレムに戻ったレハブアムは、さっそくユダ族とベニヤミン族から兵士たちを集め、北イスラエルを攻撃する準備を始めようとした。王権を奪還し、再びダビデ＝ソロモンの国家体制を回復しようとしたのである。だが、戦争の準備をしている間に、神の人（預言者）シェマヤに神の言葉がくだった。「ユダの王、ソロモンの子レハブアムとユダ、ベニヤミンのすべての家及び他の民に言え。『主はこう言われる。上って行くな。あなたたちの兄弟イスラエルの人々に戦いを挑むな。それぞれ自分たちの家に帰れ。こうなるように計らったのは私だ。』」 シェマヤは急いでこの言葉をレハブアムに伝えた。それを聞いたレハブアムは北イスラエルへの攻撃を断念し、召集していた兵はそれぞれの家に帰した。 （列王記上第１２章第１節〜第２４節より） 参考地図1-7-1：王国の分裂
|
