イスラムの歴史 (2010-5-17)

(2010-5-17)　ヨナタン、ダビデをかばう　part 2

（前回からの続き）

　ヨナタンは言った。

　「そのようなことは決してない。父があなたに危害を加える決心をしていると私が知ったら、必ずあなたに知らせよう。」

　考えを巡らせてから、ヨナタンは続けた。

　「あなたは三日後の朝、先日、あなたが隠れていた野原（(2010- 5- 3)　ダビデ、逃走する　part 1参照）の石の傍らにいなさい。私はその辺りに向けて、的を射るように三本の矢を放つ。もしも私が従者に『矢はお前の手前にある。持ってこい。』と言ったら、出て来なさい。あなたは安全で、何事もないという意味だ。だがもし私が『矢はお前のもっと先だ。』と言ったなら、逃げるのだ。それは・・・」

　どう言葉を継いだらいいのか、少しの間考えてからヨナタンは続けた。

　「主があなたを去らせようとしている兆しだ。私とあなたの間で取り決めたこのことについては、主が永遠に私とあなたの間におられる。」

　沈黙が続いた。思い詰めたようにヨナタンはダビデに言った。

　「もしも父があなたに危害を加えようと思っているのに、私がそれを知らさずにあなたを無事に送り出さないのなら、主がこのヨナタンを幾重にも罰してくださいますように。主が父と共におられたように、あなたと共におられますように。そのときに私にまだ命があっても死んでいても、あなたは主に誓ったように私に慈しみを示し、主がダビデの敵をことごとく地上から絶たれるときにも、あなたの慈しみを私の家から永遠に絶たないでほしい。」

　ヨナタンの言葉に、ダビデは思わずヨナタンの顔を見た。ヨナタンの厚意にダビデはただ深く感謝した。そうしてダビデは野に身を隠し、ヨナタンもまた去っていった。

（次回に続く）

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