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(2010-5-20) ヨナタン、ダビデをかばう part 3 （前回からの続き） 翌日。新月祭が来た。王は食卓に臨み、壁に沿ったいつもの自分の席に着いた。 ヨナタンはサウル王の向かいに座り、イスラエル軍司令官のアブネルは王の隣に席を取ったが、ダビデの場所は空席のままであった。だがその日サウルは、そのことには全く触れなかった。きっとダビデには何事かあって身が汚れており、清めが済んでいないのだろうと考えたからである。 だが翌日、二日目にもダビデの場所が空席だったので、サウルはいぶかしげに息子ヨナタンに聞いた。 「なぜ、エッサイの息子は昨日も今日も食事に来ないのか。」 ヨナタンは、先のダビデに頼みに基づいて父サウルに答えて言った。 「ベツレヘムに帰らせてほしい、という頼みでした。彼は私に、『町で私たちの一族がいけにえを捧げるので、兄に呼ばれています。御厚意で行かせてもらえるのであれば、兄に会えます。』と言っておりました。それで、ダビデは王の食事にあずかっておりません。」 みるみるうちにサウルの顔は怒りに赤くなっていった。サウルは息子を罵倒して言った。 「心の曲がった不実な女の息子よ。お前がエッサイの子をひいきにして自分を辱め、自分の母親の恥をさらしているのをこの私が知らないとでも思っているのか。エッサイの子がこの地上に生きている限り、お前もお前の王権も確かではないのだ。すぐに人をやってダビデを捕らえて来させよ。彼は死ななければならない。」 自分の母親が侮辱されたことに動揺しながらも、それでもヨナタンは必死にダビデのために父サウルに言い返した。 「なぜ、彼が死ななければならないのですか。一体彼が、何をしたというのですか。」 だが、またしても悪霊がサウルに降った。かっとなったサウルは立ち上がり、傍らの槍を取ると実の息子ヨナタンに向かってまで、それを投げつけたのである。とっさにヨナタンは槍をかわし、槍はヨナタンのいた場所を通過して飛んでいった。宴の空気は一瞬にして凍りついた。だがその空気にも構わずに、ヨナタンは怒って席を蹴って会場を去った。あくまでもダビデを殺そうとしている父サウルに納得が行かなかったのである。父の怒りが解けないことに心を痛め、ヨナタンはその日、食事を取らなかった。 （次回に続く） 参考地図1-6-7：ダビデの逃走
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