イスラムの歴史 (2007-7-23)

(2007-7-23)　ヤコブ　part 4

（前回からの続き）

　さて、こうしてヤコブが父イサクから祝福を得て去った後、エサウが狩りから帰ってきた。エサウは獲物で料理をこしらえ、父の元に運んだ。

　「父さん。料理を持ってきました。」

　イサクは驚いた。「さっき、エサウの料理を食べたばかりなのに。お前は誰だ？」

　エサウは答えた。「エサウです。父上の言うとおり、獲物をしとめて料理をつくってまいりました。」

　驚きのあまり、父イサクは震えた。「では、さっきのは一体、誰なのだ。私はてっきりお前が来たと思って、料理を食べて、その者に祝福をあたえてしまった。」

　父の権利を継承するとばかり思っていたエサウは、ショックのあまり叫び、泣いて父に言った。「父さん。私も祝福してください。」　父は言った。「さっきのは、ヤコブだったのか。もう手遅れだ。策略を用いて、ヤコブは祝福を奪ってしまった。」

　エサウは叫んだ。「おのれヤコブ。長子の権利も奪い（(2007- 7-16)　ヤコブ　part 1参照）、今なお、父の祝福までも奪うのか！」　そうしてエサウは父イサクに詰め寄った。「父さんの祝福は１つだけなのですか？　私も祝福してください！」　しまいには、エサウは泣き始めた。

　父は言った。「もう遅い。ヤコブが一族の全てを引き継ぐ。」　そうして、父は違う言葉をエサウに贈った。

「地の産み出す豊かなものから遠く離れた所
　この後お前はそこに住む
　天の露からも遠く隔てられて。
　お前は剣に頼って生きていく。
　しかしお前は弟に仕える。
　いつの日にかお前は反抗を企て
　自分の首からくびきを振り落とす。」

（次回に続く）