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(2007-7-25) ヤコブ part 5 （前回からの続き） エサウは、弟ヤコブが父の祝福をだまし取った一件を根に持った。憎しみの言葉が出てくるのを抑えきれなかった。「父がこの世を去る日も遠くはあるまい。父が生きている間は我慢するが、そのときが来たら俺は必ずヤコブを殺す。」 この言葉が、母リベカの耳に入った。そもそも、ヤコブが父の祝福を奪ったのは母リベカの計略でもある。もしもエサウが、ヤコブを殺すようなことがあれば・・・。リベカは血の気が引いた。 リベカはヤコブを呼んだ。「エサウがお前を殺してしまうかもしれない。私はそんなことには耐えられない。急いでハランに逃げなさい。私の兄、ラバンがいるから、そこにかくまってもらいなさい。エサウの怒りが治まったら、お前を呼び寄せるから。」 ベエル・シェバからハランまで距離にして約500〜600km。日本で言えば、まぁ東京〜広島の距離に相当する。ヤコブは母リベカの言葉に従い、家を出てハランを目指した。 ちなみに聖書の中ではこの後、リベカのその後について一切沈黙している。推測でしかないが、もはやヤコブは母と一生、会うことはなかったのであろう。 さて、ヤコブの話が一段落ついたところで、ちょっと補足が必要であろう。 祝福の話について 説明するまでもないとは思うが、父イサクの祝福をヤコブがだまし取ったからといって、現代の我々の感覚からすれば、それが全てを決めるというわけでもない。あくまで、旧約聖書のストーリーの中での話だと思う。昔の「物語」の１つの筋と思っていただいた方がいいのではないだろうか。神話の世界の中では、神から受けた祝福を引き継ぐこと＝一族の全て（そして神の祝福も）を引き継ぐことを意味する。そういう文脈として捉えた方がいいと思う。現代ではこんな話はあり得まい。強いて例えれば、次男が父親をだまして、全遺産を次男が相続する内容の遺言を父親に書かせるような感じであろうか。 参考地図1-2-2：古代中近東
（(2007- 7- 4)の図を再掲）
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