イスラムの歴史 (2007-7-16)

(2007-7-16)　ヤコブ　part 1

　旧約聖書の創世記の物語を延々続けてきたが、それも残すところは２人の主人公の話だけになった。ヤコブとヨセフである。これからしばらくは、ヤコブの物語を展開していこう。

　(2007- 7- 6)　イサク　後編で書いたように、イサクとリベカの間には双子が生まれた。兄はエサウ、弟はヤコブ。長じてエサウは狩りに巧みな者となり、ヤコブは天幕の周りで働くことを常とした。父はエサウを愛し、母はヤコブを愛した。

　ある日のこと。ヤコブが煮物をつくっていると、エサウが狩りから帰ってきた。エサウは空腹に耐えかねていた。ヤコブのつくっている煮物をみて、エサウが頼んだ。「お願いだから、その赤いもの（アドム）を食べさせてほしい。俺はもう疲れて動けない。」

　ヤコブは答えた。「じゃぁ、兄さんの長子の権利を僕に譲ってよ」

　お腹がすいていたエサウは、投げやりに答えた。「あぁ、長子の権利なんて、別にどうでもいいよ」

　弟はたたみかけた。「誓って、今の言葉を忘れないでね」

　エサウは、煮物を食べて、立ち去った。

　これだけを見ても、ただの昔話にしか見えないと思うが、この文書にも意味が隠されている、とされる。次回以降にも話が続くので、一段落したらあらためて解説したい。