イスラムの歴史 (2012-5-6)

(2012-5-6)　預言者エリヤ　part 3

（前回からの続き）

　エリヤはやもめに対して、彼女が持つ残りわずかな食糧をまず最初にエリヤに出すように言ったのである。普通ならば断るところであろうが、たかだかわずかな小麦粉を食べたところで自分と息子の余命にはたいした違いは無いと考えたのか、彼女は残されたわずかな小麦粉と油でパン菓子を作り、エリヤに与えた。

　すると、不思議なことが起こった。その日以後、彼女の壺からどれだけ小麦粉を取り出しても、壺の粉は尽きることがなく、どれだけ瓶から油を取り出しても、瓶の油が無くなることはなかった。

　そうしたことがあった後、そのやもめの息子が病気にかかった。息子の病状は非常に重く、彼女の介抱もむなしくついに息子は息を引き取った。彼女は泣きながら子どもを抱いてエリヤに言った。「神の人よ、あなたは私にどんな関わりがあるのでしょうか。あなたは私に罪を思い起こさせ、息子を死なせるために来られたのですか。」　

　エリヤは「あなたの息子を貸してほしい。」と言うと、彼女のふところから息子を受け取り、自分のいる階上の部屋に抱いて行って寝台に寝かせた。彼は神に向かって祈った。「主よ、神よ、あなたは私が身を寄せているこのやもめにさえ災いをもたらし、その息子の命をお取りになるのですか。」　彼は子どもの上に三度身を重ねてから、また神に向かって祈った。「主よ、我が神よ、この子の命を元に返してください。」　すると、その子は息を吹き返した。

　子どもが落ち着くと、エリヤは子どもを連れて階上の部屋から降りてきて、母親に戻して言った。「見なさい。あなたの息子は生きている。」　女は驚いてエリヤに言った。「今、私はわかりました。あなたはまことに神の人です。あなたの口にある主の言葉は真実です。」　

（列王記上第１７章より）

参考地図1-7-5：預言者エリヤ

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