イスラムの歴史 (2012-5-12)

(2012-5-12)　エリヤ対バアルの預言者　part 1

　それから３年が過ぎた。干ばつは相変わらず続いていた。そんなある日、神の言葉がエリヤに臨んだ。「行って、アハブの前に姿を現せ。私はこの地の面に雨を降らせる。」　そこで、エリヤはアハブ王の前に姿を現すために出かけることにした。

　そのころ、北イスラエルの首都サマリアは、ひどい飢饉に襲われていた。アハブ王は宮廷長オバドヤを呼び寄せて言った。「この地のすべての泉、すべての川を見回ってくれ。馬やらばを生かしておく草が見つかり、家畜を殺さずに済むかもしれない。」

　アハブ王の家来たちは手分けをして国を巡ることにした。アハブ王も自ら独りで出かけ、オバドヤも別の道を行くことにした。オバドヤが道を歩いていると、向こうからエリヤが来るのが見えた。オバドヤはエリヤの近くまでくると、ひれ伏して言った。「あなたは、エリヤ様ではありませんか。」

　エリヤは言った。「そうです。あなたの主君のもとに行って、エリヤがここにいる、と言ってください。」

　オバドヤは非常に恐れて言った。「私にどんな罪があって、あなたはしもべをアハブの手に渡し、殺そうとなさるのですか。あなたの神、主は生きておられます。私の主君はあなたを捜し出そうとしてあらゆる民や国に人を送ったのです。彼らが『エリヤはここにはいない』と答えると、それが嘘ではないことをさらに誓わせるほど念を入れているのです。

　今、あなたは私に、『あなたの主君アハブのところに行って、エリヤがここにいると言いなさい』と言われる。あなたのもとを去ってアハブにあなたのことを知らせに行っている間に、主の霊が私の知らない地にあなたを運び去ったら、アハブは私を殺すに決まっています。しもべは幼いころから、主を畏れ敬ってきました。王妃イゼベルが主の預言者たちを殺したときに、私がしたことをご存じないのでしょうか。私は主の預言者１００人を、５０人ずつ洞穴にかくまい、パンと水をもって養いました。」

　イゼベルが北イスラエル国内の預言者を粛清したとき（(2012- 4-21)　預言者エリヤ　part 1参照）に、オバドヤはひそかにかくまっていたというのである。オバドヤは続けて言った。

　「今、あなたは『エリヤがここにいる、とあなたの主君に言いに行きなさい』と言われる。アハブ王は今までずっとあなたを捜してきたのです。私は殺されてしまいます。」

（次回に続く）

参考地図1-7-5：預言者エリヤ

前の記事　　　次の記事