イスラムの歴史 (2010-6-7)

(2010-6-7)　虐殺　part 1

　ガトを脱出したダビデは、再びイスラエルの支配する地域に戻った。

　ただし相変わらずサウルのいるギルガルからは遠い、辺境の地を選び、アドラムの洞窟に潜伏した。

　ダビデは近隣の町に行き信用できる者を見つけると、自分の父や兄弟に自分の居場所を知らせた。それを聞いた彼の一族は、サウルによる迫害を恐れて皆、アドラムの洞窟にやってきた。またその他にも困窮している者、負債のある者、不満を持つ者たちもダビデの存在の噂を聞き、アドラムの洞窟に集まってきた。

　それらの者の数は４００人ほどになり、ダビデはそれらの者たちの頭領のような形になった。

　さしあたり、ダビデは両親をどうするべきか考えた。これから、王サウルとの戦いも予想される。老いてきた両親を巻き込むわけにもいかないため、ダビデは一部の者を伴い、両親を連れてモアブ国のミツパに移動した（イスラエル内のミツパとは別。位置不詳）。そうしてモアブの王に、両親の保護を依頼した。なお、ダビデの曾祖母ルツはモアブ人だったので（(2009- 8-20)　ナオミとルツ　part 1参照）、ダビデがモアブの王を頼った背景にはもしかしたらそういう理由もあったかもしれない。いずれにせよ、サウルが支配するイスラエルの地は危険だった。

　両親をモアブの王に託すと、ダビデはアドラムの洞窟に戻って潜伏を続けたが、ガドという預言者が訪れてきてダビデに言った。

　「いつまでも要害に留まっていても仕方がありません。ユダの地に出て行くべきです。」

　そこで、ダビデは集団を引き連れて、ハレトの森（位置不詳）に移動し、王サウルがどんな風に出てくるか様子を見ることにした。

　一方の王サウルは、ダビデ一味がハレトの森で発見されたことを聞いた。ダビデへの殺意に凝り固まったサウルは、すぐに家臣たちを率いてギブアに移動した。

（次回に続く）

参考地図1-6-8：虐殺

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