イスラムの歴史 (2009-8-10)

(2009-8-10)　ダン族の移動　part 4

（前回からの続き）

　祭司が５人の男を止めようにも、眼前の武装した６００人が無言の圧力となって、身動きが取れなかった。ミカは不在だった。５人のダン族の男はミカの家から彫像、エフォド（金の神像）、テラフィム（その家の守り神）と鋳像を奪って外へ出た。

　門に立つ祭司は５人の男に「何をするのですか」と言ったが、５人の男は言った。

　「口に手を当てて、一緒に来てください。私たちの父となり、祭司となってください。一個人の家の祭司であるより、イスラエルの一部族、氏族の祭司である方がよいのではありませんか。」

　レビ人の祭司はこれを快く受け入れ、ミカのエフォド、テラフィム、彫像を取ってこの民に加わった。

　一方のミカは、自分の家に帰ると、祭司もいなく、彫像もエフォド、テラフィム、鋳像までもが奪われていた。話を聞けばダン族の者たちの仕業だという。怒り狂ってミカは近所の者たちをかき集め、ダン族の部隊を追跡した。

　一方のダン族は、追撃のあるのを予想したのだろう、子どもや家畜、家財を先にし、兵を後方に置いて進んでいった。やがてミカの集団がダン族の集団に追いついた。ミカの部隊が呼びかけると、ダン族の部隊は振り返ってミカに言った。

　「兵をそろえて何事か。」

　ミカは言った。「あなたたちは私の造った神々と祭司を、奪って逃げた。私にはもう何もない。何事かとはよく言えたものだ。」

（次回に続く）