イスラムの歴史 (2009-2-9)

(2009-2-9)　士師ギデオン　part 10

（前回からの続き）

　ギデオンと彼の率いる１００人が、深夜の更の初めに敵陣の端に着いたとき、ちょうど歩哨が位置に着いたところであった。彼らは角笛を吹き、持っていた水瓶を砕いた。３つの小隊はそろって角笛を吹き、水瓶を割って松明を左手にかざし、右手で角笛を吹き続け、「主のために、ギデオンのために剣を」と叫んだ。

　各自持ち場を守り、敵陣を包囲したので、敵陣は至る所で総立ちになり、叫び声を上げて敗走した。突然の騒音に、敵陣はパニック状態に陥った。同士討ちも多々、起きた。そうして、敵の軍勢はツェレラのベト・シタ（位置不詳）まで、あるいはタバトの近くのアベル・メホラの境まで逃走した。

　先に帰されていたイスラエルの人々は集まり、ミディアン人の追討戦に加わった。ギデオンは、使者をエフライム山地の至る所に送って、援軍を要請して言った。「下って来て、ミディアン人を迎え撃ち、ベト・バラまでの水場とヨルダン川を占領せよ。」

ベト・バラ：『新共同訳旧約聖書略解』（木田献一監修、日本キリスト教団出版局、２００１年）p.295によれば、ヨルダン川に近い居住地。詳細な位置は記されていない。

　要は、ギデオンたちは、敵の退却するべき渡河地点を押さえようとした。そうしてそれに、成功した。エフライム族は皆集まって、その地点を押さえた。

　彼らはミディアン人の２人の将軍、オレブとゼエブを捕らえ、オレブをオレブの岩で、ゼエブをゼエブの酒ぶねで殺し、ミディアン人を追撃した。彼らは、オレブとゼエブの首を、ヨルダン川の向こう側にいたギデオンのもとに持っていった。

　なお、聖書中には説明はないが、「オレブの岩」「ゼエブの酒ぶね」は、それぞれ２人の将軍を殺したがゆえに名付けられたものだと思う。

（次回に続く）