イスラムの歴史 (2008-12-22)

(2008-12-22)　士師デボラ　part 2

（前回からの続き）

　ヤビンの将軍、シセラは、バラクがタボル山に上ったとの知らせを受けると、９００両からなるすべての戦車を出動させた。かつ、自分に属するすべての軍隊を招集し、ハロシェト・ハゴイム（位置不詳）から出撃した。

　シセラ出撃のしらせを受け取ると、デボラはバラクに言った。

　「さぁ、立ちなさい。主が、シセラをあなたの手にお渡しになる日が来ました。主が、あなたに先だって出て行かれたではありませんか。」

　そうして、バラクも軍を出動させ、タボル山をくだった。

　続く聖書中の記述は「主は、シセラとそのすべての戦車、すべての軍勢をバラクの前で混乱させられた。」とある。

　聖書の別の部分、士師記第５章にはデボラの戦いを歌った詩が記されているが、その第２１節にはこう記されている。

キション川は彼らを押し流した
太古の川、キション川が。
わが魂よ、力強く進め。

　『新共同訳旧約聖書略解』（木田献一監修、日本キリスト教団出版局、２００１年）p.290にはこうある。

『　《キション川》　多くの支流と共にイズレエル平野を流れ、ハイファ湾で地中海に注ぐ。全長３７キロ。恒常的に流れるのは下流のほぼ１０キロ程度、残りは泥沼になる。デボラとバラクはその時期を狙って戦争を仕掛けた』

　おそらくは、戦車はキション川のぬかるみに足を取られたのであろう。バラクの軍勢はシセラの軍勢を撃破し、シセラの軍は逃走を始めた。

（次回に続く）