イスラムの歴史 (2008-7-24)

(2008-7-24)　解説編：本当のところは、何があったのか　part 1

　今日の話は、まったくの雑談である。

　出エジプトの話は、そもそもあったのか、それともまったくの空想の産物なのか。以下、このホームページを書くにあたりいろいろな文献にあたった上での私の感想を書いてみよう。

　(2008- 2-15)　解説編：出エジプトはいつの出来事か？　part 1でも書いたとおり、一定時期しか存在しなかったエジプトの都市をわざわざ伝説の中に取り入れることが考えにくいため、出エジプトのベースになるイベントは実際に発生したと思う。

　ただし、(2008- 3-10)　解説編：６０万人もの人間が脱出したのか？で書いたとおり、脱出の規模は小規模。聖書に書かれているような、６０万人などという規模ではない。

　全くの私の個人的な推測だが、モーセ、アロンのベースになる人物は存在したと思う。ただし、そのとおりの名前であったかどうかまでは断定できない。なぜなら、出エジプトの時期と推定される紀元前１３世紀後半（この時期自体も私が支持する論に拠るが）と、Ｊ文書・Ｅ文書が書かれた紀元前１０世紀との間で数百年の時間が流れているからである。現代のように映像・写真などの記録媒体があるならともかく、ごく限られた知識人の間での文字による伝達、または口伝による伝達では、途中で物語が歪む可能性があるからである。

　ただし、モーセという指導者が占める地位が非常に高い。(2008- 6-30)　モーセの死で書いたように、「イスラエルには、再びモーセのような預言者は現れなかった。」　とまで、聖書には書かれているところから、それぐらいのインパクトを与える人物だったのだろうと思う。

（次回に続く）

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