(2008-6-30) モーセの死 モーセが語り終えると、神はモーセに言った。 「さぁ、ネボ山に登るがよい。登って、私がイスラエルの人々に与えるカナンの土地を見渡しなさい。あなたはその山で死に、先祖の列に加えられる。」 神が離れると、モーセはヨシュアを呼んで言った。「私の最期も近い。あの山に私を連れて行ってほしい。」 「縁起でもないことは言わないでください。」ヨシュアは言ったが、モーセは聞かなかった。「主が、私の最期が近いとはっきり言われたのだ。最後に、死ぬ前に約束の地を見渡したい。」 仕方なく、ヨシュアは従者数名を伴い、モーセを連れて山を登った。山を登ると、はるかにヨルダン川西岸を見渡すことができた。無心に、モーセはその景色を眺めた。(イスラエルの民は、無事にあの地を獲得するだろうか。)素朴な問いがふっと浮かんだが、無益であることをすぐに思い出した。もう、その責務は自分の手のとどかないところに離れつつあるのだ。 「ヨシュアよ。」モーセは、傍らにいるヨシュアに呼びかけた。「後は、頼んだ。」 「はい。」 ヨシュアが答えてから、二人はずっと遠くの景色を眺め続けていた。
モーセはその山で死んだ。死因は聖書には記されていない。モーセの希望で、遺体はとある谷に葬られたが、その場所はヨシュアが秘したため、誰もその場所を知ることがなかった。 「イスラエルには、再びモーセのような預言者は現れなかった。」 と、聖書には書かれている。 (申命記第32章第48〜52節、第34章)
(出エジプトの物語はこれで終了です。)
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