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(2007-7-4) イサク 前編 旧約聖書「創世記」の話を続ける。アブラハムの子、イサクの話である。
時が流れた。やがてアブラハムも老人になり、イサクも年頃の若者になった。イサクに、しかるべき妻を迎えたいと思ったアブラハムは、家の財産の管理を任せている、信頼できるしもべを呼んで言った。 「私は、息子の妻は、我々が今住んでいるカナン（パレスティナ）ではなく、私の故郷から探したい。お前は私の故郷に行って、息子の嫁にふさわしい女性を探してきなさい。」 しもべは言った。「もしその娘が、カナン（パレスティナ）に来たくない、と言ったら、ご子息をあなたの故郷に連れていってもよろしいでしょうか？」 アブラハムは言った。「もしも娘がこちらに来たくないというのであれば、それは仕方がない。だが、息子を向こうに行かせることはできない。」 しもべはアブラハムの命令を守ることを誓い、１０頭のらくだを選び、贈り物を携えてアラム・ナハライム地方に出発した（『聖書事典−新共同訳』（木田献一・山内 眞監修、日本キリスト教団出版局、２００４年）p.84によれば、ティグリス・ユーフラテス川の上流地域。古代オリエント世界における交通の要衝、商業都市であるハランを含む）。 やがてしもべはアブラハムの故郷にたどり着いた。夕方、しもべは町はずれの井戸のそばにらくだを休ませて、神に祈った。「これから、町の娘たちが水を汲みにこの井戸にやってくることでしょう。私はその１人に、水をくれるように頼みます。もしその娘が、私だけではなく、らくだにも水を勧めてくれるのなら、その娘こそ我が主人アブラハムの息子、イサクの妻となるべき娘という神の意思とします」 しもべの祈りが終わるちょうどその時、リベカという娘が井戸に水を汲みに来た。実はリベカはアブラハムの弟の孫で、イサクから見れば、従兄弟の娘にあたる。そうとは知らずに、しもべはリベカに駆け寄って、水を求めた。「水を少し飲ませてもらえませんか」 リベカは水をしもべに与えた。かつ、リベカは言った。「らくだにも水が必要でしょう。らくだに水を飲ませましょう。」 リベカはかめの水を水槽にあけ、また水をくみに井戸に走って行った。こうして、リベカはすべてのらくだに水を汲み、飲ませた。この間、先ほどの神への祈りが叶うかどうかを見極めるため、しもべは黙ってリベカを見つめていた。 （次回に続く）
（2015-2-28、アラム・ナハライム地方に関する説明部分等を一部修正）
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