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(2020-3-7) ペルシア vs リュディア part 2 （前回からの続き） ソロンが訪ねてくると、クロイソス王は彼を歓待した。かつ、家来に命じて宝物蔵を案内し、豪華な財宝をことごとく見せた。その後で、クロイソスはソロンに「この世界で一番幸せな人間は誰か」という問いを投げかけた。それに対してソロンは、アテネのテロスという者をあげた。理由は、子どもや孫に恵まれて一人も欠けなかったこと、そうして、隣国との戦争に際して味方を救援、敵を敗走させたのち名誉の戦死を遂げたからだという。 内心、自分こそ世界で一番幸せだというにちがいないと思っていたクロイソスは、ソロンの回答に内心はがっかりしつつも、それは表面には出さずに、ソロンに尋ねた。「それでは、二番目に幸せなものは誰か」 すると、ソロンはアルゴス生まれの兄弟をあげた。その兄弟は、ヘラ女神の祭礼に母をどうしても牛車でつれていかなければならなかったが、たまたま牛がいなかった。それでこの兄弟が牛の代わりに牛車を引いて母を連れて行き、たどり着いたところで二人とも息絶えたという。人々は二人を讃えて立像をつくり、デルポイへ奉納した。 ソロンの回答に、クロイソス王は苛立って言った。「そなたは、私の幸福がその庶民の者どもに及ばないとでもいうのか。」 それに対してソロンは言った。「神は嫉み深く、人間をよく困らせるのが好きであることを私は承知しています。人は長い人生の間には見たくないものを見、遭いたくないことにも遭わなければなりません。確かにあなたは今、莫大な富を持ち、多数の民を統べているのは私もよくわかっていますが、あなたの人生が幸福に終わることを見届けるまでは、私はあなたについては何とも言えません。結末を見極めることこそ肝心です。幸福を垣間見ても、一転して奈落に突き落とされた人間はいくらでもいるのですから。」 この話がクロイソスの意に沿うはずもなく、この男は馬鹿にちがいないと思ったクロイソスは、一顧だにせずソロンを去らせた。
時は流れ、ペルシアのキュロス王がメディアのアステュアゲス王を捕らえ、メディアを手中に収めた。台頭してくるペルシアに、どう対応すべきか − クロイソス王は、指定の期日に自分が何をしているかを当てることができるかどうか、各地の神殿をテストした。そのテストに合格したデルフォイの神殿とアンピアラオス（※）の神殿に莫大な供え物をした上で、ペルシアへの対応についての神託を伺わせた。二つの神殿は、同じ神託を出したという。神託の内容は、クロイソスがペルシアに出兵すれば、大帝国をほろぼすことになろう。ギリシアの中で最強の国はどこかを調べ、これを同盟国とするように、というものであった。
（次回に続く） 参考地図1-9-8：ペルシア vs リュディア（広域図）
参考地図1-9-9：ペルシア vs リュディア（地域図）
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