イスラムの歴史 (2019-3-2)

(2019-3-2)　エルサレム堕落の幻　part 1

　エゼキエル書には「第六年の六月五日のこと」とあるので、ヨヤキン王が捕囚となって６年目、すなわち紀元前592年（または紀元前591年）のことと思われる。

　エゼキエルは自分の家で、ユダの長老たちと一緒に座っていたが、そのとき、神の示す幻を見た。

　幻のうちにエゼキエルはエルサレムへと運ばれ、北に面する内側の門の入り口に立った。神がエゼキエルに「人の子よ、目を上げて北の方を見なさい」と言ったので、北の方に目を上げると、門の北側に祭壇があり、入り口にはまさにその激怒を招く像があった。神は言った。「人の子よ、イスラエルの人々が私を聖所から遠ざけるために行っている甚だ忌まわしいことを見たか。しかし、あなたは更に甚だしく忌まわしいことを見る。」

　神はエゼキエルを庭の入り口に連れて行った。見ると、壁に一つの穴があった。神が「人の子よ、壁に穴をうがちなさい」と言ったので、壁に穴をうがつと、そこに一つの入り口があるではないか。神は「入って、彼らがここで行っている邪悪で忌まわしいことを見なさい」と言った。エゼキエルが入って見ると、周りの壁一面に、あらゆる地を這うものと獣の像、およびイスラエルの家のあらゆる偶像が彫り込まれていた。

　それらの偶像の前に、イスラエルの長老70人が、シャファンの子ヤアザンヤを中心にして立っていた。彼らは、それぞれ香炉を手にしており、かぐわしい煙が立ち昇っていた。神はエゼキエルに言った。「人の子よ、イスラエルの家の長老たちが、闇の中でおのおの、自分の偶像の部屋で行っていることを見たか。彼らは、『主は我々を御覧にならない。主はこの地を捨てられた』と言っている。」

　神はまた、言った。「あなたは、彼らが行っている更に甚だしく忌まわしいことを見る。」

　神はエゼキエルを、エルサレムの神殿の北に面した門の入り口に連れて行った。そこには、女たちがタンムズ神のために泣きながら座っていた。なお、タンムズ神とはバビロニアで信奉された神の１つで、植物が枯れる夏になると黄泉に下ると信じられていた（『新共同訳　旧約聖書略解』（p.890））。

　神はエゼキエルに言った。「人の子よ、見たか。あなたは、これより更に甚だしく忌まわしいことを見る。」

（次回に続く）

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