イスラムの歴史 (2018-5-12)

(2018-5-12)　アッシリアの最期　part 2

（前回からの続き）

　メディア国のキュアクサレス２世は、紀元前625年頃にスキタイ人を破り、イラン高原地方での支配を確立していた。すなわち、ナボポラッサルがバビロンを掌握したのと同じ時期である。メディア国はキュアクサレスの父、プラオルテスの代からたびたびアッシリアと戦い、アッシリアとは宿敵の関係にあった。アッシリアが弱体化してきていることを知ると、紀元前615年、キュアクサレスは突然アッシリアへと進軍する。以下、『世界の歴史2　古代オリエント』p.341～342から引用しよう。

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　しかし、イラン高原の主要部を統一してメソポタミアをうかがっていたキュアクサレスは、この機会を逃さなかった。前615年のおわり、突如アッシリアを襲い、アラバ（キルクク）を占領し、翌年のはじめには古都アッシュルを陥落させた。先手を取られたナボポラッサルは、急遽アッシュルにむかい、その城壁の下で、キュアクサレスと同盟関係を結んだ。ナボポラッサルの後継者ネブカドネザルは、やがてキュアクサレスの娘アミュティスを王妃に迎える。

　メディアと新バビロニアの連合軍は、ついに前612年の夏、アッシリアの首都ニネヴェを襲撃し、二ヶ月の攻囲ののち、徹底的にこの都市を破壊しつくした。アッシリア王は多くの要人たちとともに殺され、町は廃墟と化した。これまで苛酷な支配のもとに抑圧されていた諸民族にとって、このニネヴェの陥落はかれらの解放のしるしとして、エジプトを除く全オリエント世界で祝福された。ナボポラッサルはマルドゥク神とナブー神に感謝をささげ、イスラエルの預言者らはこれをヤーヴェの賜物にした。

==============================　引用終了　==============================

　アッシリアの残党はハランへと逃れ、ここに立てこもった。将軍の一人が、アッシュル・ウバリト２世を名乗り、立て直しを図る。バビロニア軍とメディア軍に対抗するため、アッシリアはエジプトに応援を要請。エジプトのファラオ、ネコ２世は援軍を率いてハランへと行軍する。その途上、エジプト軍はユダの王ヨシヤの軍と遭遇、両軍が衝突してヨシヤが戦死したのは(2018- 4- 7)　ユダの王ヨシヤ　part 4で書いたとおりである。

　エジプト軍の応援もむなしく、紀元前605年、ハランで抵抗を続けていたアッシリアの残党はメディア・バビロニア連合軍により滅ぼされた。ここに、アッシリア帝国の歴史は幕を閉じたのである。

参考地図1-8-12：アッシリアの最期

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