イスラムの歴史 (2011-8-6)

(2011-8-6)　アドニヤ派のその後　part 2

（前回からの続き）

　バト・シェバは言った。「小さなお願いが一つあります。断らないでください。」

　王は「母上、願いを言ってください。あなたの願いなら、私は断りません。」

　それでバト・シェバは言った。「あのシュネムの女アビシャグをあなたの兄、アドニヤの妻にしてください。」

　ソロモンはアドニヤの狙いをすぐさまに理解すると共に、それを見抜けない母に愕然とした。ソロモンは言った。

　「どうしてアドニヤのためにシュネムの女アビシャグを願うのですか。彼は私の兄なのですから、彼のために王位も願ってはいかがですか。祭司アビアタルのためにも、ツェルヤの子ヨアブのためにも、そうなさってはいかがですか。」

　（アビアタルもヨアブも、以前アドニヤの側についた。(2011- 6-18)　王位継承の争い　part 1参照）

　アビシャグは、バト・シェバにすれば夫の側女の一人に過ぎなくとも、他の者にとっては先王の側女である。政治的な影響があるのは避けられなかった。いっそのことアドニヤのために王位も頼んだらどうか、というのはソロモンの母に対する皮肉である。

　バト・シェバが退出すると、ソロモン王は一人、神に誓って言った。

　「アドニヤがこのような要求をしてもなお生きているなら、神が幾重にも私を罰してくださるように。私を揺るぎないものとして、父ダビデの王座につかせ、お約束どおり私のために家を興された主は生きておられる。アドニヤは今日、死なねばならない。」

　ソロモン王はヨヤダの子ベナヤを呼び、事情を話した上で命じた。「アドニヤを討て。」　ベナヤはさっそくアドニヤのところに兵を連れて直行し、ソロモンの異父兄アドニヤを殺した。

（次回に続く）