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(2011-4-9) エルサレム帰還への地ならし さて、アブサロムが戦死すると、イスラエル諸部族の間に議論が起こった。 「ダビデ王は敵の手から我々を救い出し、ペリシテの手からも助け出してくださった。だが今は、アブサロムのために国外に逃げておられる。我々が油を注いで王としたアブサロムは戦いで死んでしまった。それなのになぜあなたたちは黙っているばかりで、王を連れ戻そうとしないのか。」 イスラエルの全ての人々の声はダビデ王の留まる家にまで届いた。王は、祭司ツァドクとアビアタルのもとに人を遣わしてこう言った（祭司ツァドクとアビアタルは、ダビデがアブサロムの難を逃れてエルサレムを脱出する際に、諜者としてエルサレムに潜伏させた祭司たち。(2011- 2- 7) 神の箱参照）。 「ユダの長老たちにこう言ってくれ。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに遅れを取るのか。あなたたちは私の兄弟、私の骨肉ではないか。王を連れ戻すのに遅れを取るのか。アマサに対してはこう言ってくれ。お前は私の骨肉ではないか。ヨアブに代えてこれから先ずっと、お前を我が軍の司令官に任じないなら、神が幾重にも私を罰してくださるように。」 ダビデがツァドクとアビアタルに託した言葉は大きく分けて２つに分かれる。まず１つ目は、ユダ族に対するものである。これは、イスラエルの他の部族がダビデを王の地位へ戻そうと動き始めているのに、ダビデと同族であるユダ族は何もせずに手をこまねいているのか、という催促である。 もう１つはアマサに対するものである。アマサはヨアブの従兄弟で、アブサロムがダビデへの決戦を挑むに当たって司令官に任じた人物、すなわちダビデと敵対した人間である（(2011- 3- 7) 会戦の準備参照）。ヨアブがアブサロムを殺したことが腹に据えかねたのであろうか、ダビデはアマサに対して、軍の司令官にすることもやぶさかではないと伝えている。ヨアブはダビデの甥であったとの説もあり（(2010-10- 4) イスラエルとユダの戦い part 1参照）、ヨアブの従兄弟アマサはダビデにとっても親戚にあたった可能性がある。一度はアブサロムの側についてダビデに逆らったアマサを司令官にするというのだから、やはりダビデは相当、ヨアブに思うところがあったのであろう。
ダビデからのメッセージを伝えられたユダ族は、慌てた。ユダ族は心を一つにして使者をダビデに遣わし、「すぐに家臣全員と共にエルサレムに帰還してください。」と言った。 （サムエル記下第１９章第１０節〜第１５節より） 参考地図1-6-22：帰還への地ならし
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