イスラムの歴史 (2010-12-27)

(2010-12-27)　ダビデとバト・シェバ　 part 6

（前回からの続き）

　ダビデは悔いてナタンに言った。「私は主に罪を犯しました。」

　ナタンはダビデに言った。「その主があなたの罪を取り除かれます。あなたが死ぬことはないでしょう。ですが、このようなことをして主を甚だしく軽んじたのですから、生まれてくるあなたの子は必ず死にます。」

　そう言うと、ナタンは王宮を辞して自分の家に帰っていった。

　神はウリヤの妻が産んだダビデの子を打ち、その子は弱っていった。ダビデはその子のために神に願い求め、断食した。彼は引きこもり、地面に横たわって夜を過ごした。王家の長老たちはその傍らに立って、王を地面から起きあがらせようとしたが、ダビデはそれを望まず、彼らと共に食事を取ろうともしなかった。

　７日目にその子は死んだ。家臣たちは、その子が死んだとダビデに告げるのを恐れ、こう話し合った。

　「お子様がまだ生きておられたときですら、何を申し上げても私たちの声に耳を傾けてくださらなかったのに、どうして亡くなられたとお伝えできよう。何か良くないことをなさりはしまいか。」

　ダビデは、家臣たちがささやきあっているのを見て、子が死んだと悟って言った。「あの子は死んだのか。」

　彼らは恐る恐る答えて言った。「お亡くなりになりました。」

　ダビデは地面から起き上がり、身を洗って香油を塗り、衣を替え、主の家に行って礼拝した。王宮に戻ると、ダビデは命じて食べ物を用意させ、食事をした。

　家臣は尋ねた。「どうしてこのように振る舞われるのですか。お子様の生きておられるときは断食してお泣きになり、お子様が亡くなられると起き上がって食事をなさいます。」

　ダビデは言った。「子がまだ生きている間は、主が私を憐れみ、子を生かしてくださるかもしれないと思ったからこそ、断食して泣いたのだ。だがあの子は死んでしまった。断食をしたところで、何になろう。あの子を呼び戻せようか。私はいずれあの子のところに行く。しかし、あの子が私のもとに帰ってくることはないのだ。」

　やがてダビデは妻バト・シェバを慰め、彼女のところに行って床を共にした。バト・シェバは男の子を産み、ダビデはその子をソロモンと名付けた。神はその子を愛しておられる、と預言者ナタンは後にダビデに告げ、ダビデはその子をエディドヤ（主に愛された者）とも名付けた。

（サムエル記下第１１章第２節～第１２章第２５節より）

　余談であるが、ダビデを魅了したバト・シェバは、近代以降の画家も好んで取り上げる画材である。有名なところではレンブラント、ピカソ、ウィレム・ドロストなどが作品を残している。

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