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(2010-10-11) イスラエルとユダの戦い part 3 （前回からの続き） （アサエルを殺してしまった） アブネルは、できれば彼を殺したくはなかった。だが、ここは戦場である。起こったことはもう取り返しがつかない。アブネルは、呆然と立ちつくすアサエルの部下をにらんで牽制した。 （無用の殺しを、もう私にさせるな。） 自分に向かってくるな、という意味である。言葉に出す必要はなかった。戦意を失ったアサエルの部下を打ち捨てて、アブネルはさらに逃走した。 アブネルを追ってきたヨアブの軍の兵は、アサエルの死体のところまで来ると、衝撃を受け、かつその死を悼んで立ちすくんだ。だがヨアブとその弟アビシャイは、末弟の遺体を見て復讐心に燃え、さらにアブネルを追った。 夕暮れ時になって、ヨアブとアビシャイの一行はギブオンの荒れ野に続くギアの入り口にあったアンマの丘というところに着いた。一方のアブネルは、ベニヤミン族の部隊と合流し、一つの丘の頂に留まった。 ヨアブの軍とアブネルの軍はしばしにらみ合っていたが、アブネルはヨアブに向かって叫んだ。 「いつまで剣の餌食とし合うのか。悲惨な結末になることを知らぬわけではあるまい。いつになったら、兄弟を追うのはやめよ、と兵士に命じるのか。」 もう、日も暮れる。この辺が潮時とヨアブは見定めた。ヨアブは答えて叫んで言った。 「神は生きておられる。もしお前がそう言い出さなかったら、兵士は朝までその兄弟を追い続けたことだろう。」 ヨアブは角笛を吹いた。撤退の合図である。ヨアブの軍の兵士は皆、アブネルの軍を追うことをやめ、戦闘を中止した。一方のアブネルとその兵たちはアラバを夜通し歩いてヨルダン川を渡り、更に次の日の午前中も歩き通してマハナイムに帰還した。 この戦闘の結果、ヨアブの側の戦死者は１９名の兵士とアサエル。アブネルの側は３６０人の兵士が戦死したと聖書中では伝えられている。 アサエルの遺体はベツレヘムに運ばれ、アサエルの父の墓に葬られた。ヨアブとその兵はさらに夜通し歩いて、明け方にヘブロンに戻った。 サウル王家とダビデ王家の戦いは更に続いた。だがダビデの側が優勢で、徐々にサウル王家は勢いを失っていった。 （サムエル記下第２章第８節〜第３章第５節より） 参考地図1-6-14：イスラエルとユダの戦い
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