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(2010-10-14) アブネル、ダビデの側につく part 1 サウル王家とダビデ王家の戦いが続くうちに、サウル王家ではサウルの子エシュバアルをしのいで、将軍アブネルが実権を握るようになっていた。 ところで、先代の王サウルにリツパという側女がいたが、あるとき、アブネルとリツパが床を共にしたという噂が流れた。事の真偽は定かではないが、新王エシュバアルの心中は穏やかではなかった。ある日、エシュバアルはアブネルを呼んで詰問して言った。 「なぜ、父の側女と通じたのか。」 するとエシュバアルの言葉にアブネルは激しく怒って言った。 「私をユダの犬どもの頭とでも言われるのですか。今日まで私は、あなたの父上サウルの家とその兄弟、友人たちに忠実に仕えてきました。あなたをダビデの手に渡すこともしませんでした。であるのにあなたは、私があの女と関係を持ったなどと言って私を責めておられる。」 ここに至ってアブネルはエシュバアルを見限った。アブネルは続けてエシュバアルに言った。 「主がダビデに誓われたことを私がダビデのために行わないなら、神がこのアブネルを幾重にも罰してくださるように。私は王権をサウルの家から移し、ダビデの王座をダンからベエル・シェバに至るイスラエルとユダの上に打ち立てる。」 アブネルの言ったことはすなわち、ダビデをイスラエルの一部族であるユダの王から、１２部族を束ねるイスラエルの王へと押し上げること − すなわち、今のイスラエルの王であるエシュバアルを王の座から引きずり落とすことを意味していた（ダンからベエル・シェバまで、というのは北にあるダンから南にあるベエル・シェバまで、すなわちユダに留まらずイスラエル全土を意味する）。 アブネルが怒った様子を見てエシュバアルはアブネルを恐れ、それ以上は何も言わなかった。 アブネルはその場は引き下がったが、すぐに行動を開始した。すなわち、使者を送ってダビデに接触を試みたのである。数日をかけて使者はヘブロンにたどり着いた。アブネルからの使者と聞いて、ダビデはすぐに接見した。 アブネルの使者はダビデに言った。 「アブネルはこう言います。『この地を誰のものと思われますか。わたしと契約を結べば、あなたの味方となって全イスラエルがあなたの側につくように計らいましょう。』」 ダビデは答えて言った。 「すばらしい！ 契約を結ぼう。ただし、１つ条件がある。すなわち、次に私に会いに来るときはサウルの娘ミカルを必ず連れてくることだ。もし彼女を連れてくるのでなければ、私があなたと会うことはない、と伝えてくれ。」 （次回に続く） 参考地図1-6-15：アブネル、ダビデの側につく
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