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(2010-9-2) サウル、口寄せの女を訪れる part 1 ダビデの話は後で続けることにして、一方のペリシテ軍は、イスラエルに対する攻撃を開始するために進軍を続けた。彼らはシュネムに集結し、陣をしいた。続々とペリシテ人が集結しているとの報せを受け、サウルは迎え撃つべく軍を集めてギルボアに陣を敷いた。遠くからペリシテ人の陣の様子をうかがったサウルは、不安に駆られた。今までペリシテ人と何度も戦ってきたが、敵はこれほどの兵を集めてきたことはない。遠くからシュネムの地を見ると、そこはペリシテ人で埋め尽くされており、その人数は明らかにサウルが集められる兵力を上回っていた。 お互いに兵を集めているとはいえ、ただちに戦争が始まるわけでもない。毎日サウルは敵陣を見、自陣を見たが、この上なく不安に駆られた。サウルは神に託宣を求めたが、神は夢によっても、ウリム（石による占い）によっても、預言者によっても答えなかった。 焦ってサウルは家臣に命じた。 「口寄せのできる女を探してくれ。その女のところに行って尋ねよう。」 口寄せとは、日本で言えば青森県恐山のイタコのようなもので、死者の霊を呼び寄せて現世の者と交信できるようにする者のことである。すると、サウルの家臣は「エン・ドルに口寄せのできる女がいます。」と答えた。 そこでサウルは変装して身をやつし、二人の兵を伴って夜、その女のもとを訪ねた。サウルは女に会うと言った。 「口寄せの術で占って欲しい。あなたに告げる人を呼び起こしてくれ。」 ところが女は言った。 「サウル王のしたことをご存じでしょう。サウルは口寄せと魔術師をこの地から絶ちました。なぜあなたは私を罠にかけ、私を殺そうとするのですか。」 口寄せに関しては、聖書のレビ記第２０章第６節に次のように規定されている。「口寄せや霊媒を訪れて、これを求めて淫行を行う者があれば、私はその者に私の顔を向け、彼を民の中から断つ。」 イスラエルの中では口寄せは、異教の行為として禁止されていた。この規定に基づき、サウルは先に口寄せと魔術師を国内から一掃（皆殺しに）していたのである。女は今、求めに応じて口寄せをすることにより殺されることを恐れた。サウルは神にかけて女に誓った。 「主は生きておられる。このことであなたが罪を負うことは決して無い。」 （次回に続く） 参考地図1-6-11：サウル、口寄せの女を訪れる
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