|
(2010-8-16) ダビデ、ガトにいるアキシュに身を寄せる part 1 これから書く話は、舞台・登場人物からすれば、おそらくは先に書いた話（(2010- 6- 3) ダビデ、狂人を装う参照）の別バージョンの物語である。というよりも、どちらかと言えばこちらの話がメインだったのかもしれない。
あるとき、ダビデは考えた。このままではいつかサウルに殺されるに違いない。ペリシテ人の地に逃れるしかない。そうすればサウルはきっと、イスラエル全域でダビデを捜すことを断念するだろう。そうすれば、ダビデはサウルの手から逃れることができる。 ダビデは６００人の兵と共にガトの地に移っていった。ダビデは２人の妻を連れ、兵たちもおのおのの家族を連れていった。旅路の果てにダビデはガトの王アキシュに面会を求め、許されてアキシュの前に出た。挨拶が終わるとダビデはアキシュに今までの事情 − サウルに追われていることを説明し、次のように言った。 「どうかあなた様の御厚意を得られるのなら、地方の町の１つに場所をください。我々はそこに住み、あなたのために働きます。しもべが王国の首都で、あなたのもとに住むことはありません。」 ダビデのことは、アキシュも知っていた。ゴリアテを討ち取ったイスラエルの将で、戦に関わる者でその勇を知らぬ者はない。それがイスラエル王の不興を買い、自分のもとに逃れてきたという。アキシュはダビデをいったん下がらせ、部下と協議した。ダビデが逃れてきたことが本当かどうかを疑う意見ももちろん出たが、たかだか６００人の兵を恐れる必要も無いという結論に落ち着き、とりあえずアキシュはダビデの申し出を受けることにした。 アキシュはダビデを呼ぶと言った。 「よかろう、お前にはツィクラグという町を与える。これから、私のために働いてほしい。」 アキシュはいったんはダビデに小さな町を与えた上で、ダビデがどれぐらい自分のために働くかを試すつもりでいた。 さっそくダビデは、少しの期間兵を休ませると、兵を率いて出撃した。ダビデは、イスラエルではなく、宿敵のアマレク人や、ゲシュル人、ゲゼル人などの地を襲った。もともと戦上手のダビデである。難なくこれらの部族の町を落としていった。そうして羊、牛、ロバやラクダと衣類を奪ってはアキシュに届けた。 （次回に続く）
参考地図1-6-10：ダビデ、ナバルに物資を乞う
|
