イスラムの歴史 (2010-4-26)

(2010-4-26)　サウル、ダビデを妬む　part 2

（前回からの続き）

　ダビデの顔は恐怖に満ちたが、サウルは笑顔を取り繕ってごまかした。

　「いやぁ、すまん、すまん。戦いのときを思い出して、ついつい投げてしまった。」

　ダビデは困惑したが、とにかく区切りがつくまで音楽を奏でると、早々に退散した。

　だが後日、もう一度サウルは琴を奏でるダビデに向かって槍を投げた。今度もダビデはかわしたが、さすがにダビデも生命の危険を感じ、それ以後はなるべくサウルに近づかないようにした。

　その後も、まるでダビデには神が共にあり、サウルからは離れ去ってしまったかのようだった。サウルはダビデを見ることを恐れるようになり、ダビデを遠ざけるため、ダビデを千人隊の長に任命した。ダビデのような若い者としては異例の抜擢である。そうしうてサウルはダビデを前線に送り出した。だが神がダビデと共にあったため、ダビデは常に勝利を収めた。それがますますダビデの人気を増し、サウルはさらにダビデを恐れるようになった。

　サウルはダビデに言った。

　「私の長女メラブを、お前の妻として与えよう。私の戦士となり、主のための戦いをしてくれ。」

　サウルは自分でダビデに手を下すことなく、ペリシテ人の手で殺そうと考えるようになっていた。だが、ダビデはサウルに言った。

　「私など、何者でしょう。私の一族、私の父の一族などイスラエルにとって何者でしょう。私が王の婿になるとは。」

　ところが、サウルの娘メラブは、ダビデに嫁ぐべきときに、メホラ人アドリエルに嫁がせられた。理由は詳しくは書かれていないが、サウルは娘を与えることを条件にもっとダビデを戦いに赴かせようとしたものの、うまくいかなかったのかもしれない。自分が憎むダビデに自分の娘を与える積極的な理由はサウルには無かった。

（次回に続く）

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