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(2010-4-15) ゴリアテ part 9 （前回からの続き） 茫然として両軍が見守るなか、ダビデはゴリアテの首を高々と掲げた。最初は「どうだ」と言わんばかりにペリシテ軍に向かって、それからイスラエル軍に向かって。 一瞬の静寂の後、イスラエル陣営から大歓声があがった。とりわけサウルは狂喜乱舞した。 「やりおった！ あの小僧、やりおったわ！！」 飛び上がらんばかりに喜ぶと、サウルは我に返って命じた。 「今こそ、絶好の機会である。全軍、ペリシテ軍に攻撃せよ！」 今までおびえていたイスラエルの兵たちは、ときの声をあげてペリシテ軍に突撃していった。ペリシテ軍はまさかゴリアテを倒す者がいるとは思わず、動揺して逃げ出した。イスラエルとユダの兵はガイの境エクロンの門まで追撃した。多くのペリシテ人が道に屍となって倒れた。追撃が終わると、イスラエルの兵士は空になったペリシテ軍の陣を略奪した。 一段落するとサウルは、イスラエル軍の司令官アブネルに尋ねた（アブネルは、サウルの従兄弟にあたる）。「あの、ゴリアテを討ち取った少年は誰の息子か。」 アブネルは答えた。「王様。誓って申し上げますが、全く存じません。」 サウルは命じた。「あの少年が誰の息子か調べてくれ。」 やがて司令官アブネルはダビデを連れてサウルの前に出た。ダビデは、ゴリアテの首を持っていた。 「少年よ。お前は誰の息子か。」サウルは尋ねた。 「王様のしもべ、ベツレヘムのエッサイの息子です。」とダビデは答えた。 サウルの傍らにいたサウルの子、ヨナタンは、とりわけダビデのことを気に入った。単身、あの巨人ゴリアテに向かっていったダビデを、ヨナタンは勇敢な少年として認めた。もしダビデが石を外せば、なぶり殺しにされていたはずなのである。並の胆力でできることではない。ヨナタン自身も従者一人を従えて敵陣に乗り込む剛胆な男であったため（(2010- 1-25) 奇襲 part 1参照）、ヨナタンはまるで自分自身のことのようにダビデを愛した。 サウルはその場でダビデを召し抱え、ダビデが父エッサイのもとに帰ることを許さなかった。 ヨナタンはダビデと契約を結び、着ていた上着を脱いで与え、自分の装束を剣、弓、帯に至るまで与えた。 （サムエル記上第１７章〜第１８章第４節より） 参考地図1-6-6：ゴリアテ
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