イスラムの歴史 (2009-12-21)

(2009-12-21)　サムエル、サウルに油を注ぐ　part 3

（前回からの続き）

　サムエルは言った。

　「私が先見者です。先に聖なる高台に上ってください。そして今日は私と一緒に食事をしてください。明日、あなたを送り出すときに、あなたの気にかけていることについては説明します。３日前に姿を消したロバのことは、気にする必要はありません。もう見つかっています。」

　何も言っていないのに、ロバのことを言われてサウルは密かに驚愕した。かつ、この人は間違いなく先見者だとも確信した。サムエルは続けた。

　「全イスラエルの期待は誰にかかっていると思いますか。　－　あなたにです。そして、あなたの父の家に、です。」

　サウルは答えて言った。

　「私はイスラエルで最も小さい部族ベニヤミン族の者ですし、そのベニヤミンの中でも最小の一族の者です。どんな理由で私にそのようなことを言われるのですか。」

　それには答えず、サムエルはサウルと従者の若者を高台に招いた。そうしてその広間に連れていき、そこに居並ぶ人々の上座に席を与えた。そこには３０人ほどの人々が客として招かれていた。

　サムエルは料理人に命じた。

　「あらかじめ取り分けておくように、と言ってあった分をこの方々に出しなさい。」

　料理人はもも肉と脂尾を取り出し、サウルの前に出した。まるで予定されていたかのように、サウルたちの分の料理が出てきた。サムエルにとっては、あらかじめ神から告げられていたから当然のことであったが、サウルにとっては驚きの連続であった。この人はロバのことを知っているだけでなく、自分が今日ここに来ることを知っていた。

　ひそかな畏怖の念を心の奥底に隠しながらサウルはサムエルと食事をし、歓談して過ごした。

（次回に続く）

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