イスラムの歴史 (2009-6-22)

(2009-6-22)　士師サムソン　part 10

（前回からの続き）

　ユダ人の地に向かってきたペリシテ人は軍を展開した。ユダの人々は恐れおののいて使いを送り、「なぜあなたがたは我々に向かって上ってくるのか」と問いただしたところ、彼らは「我々が攻め上ってきたのは、サムソンを縛り上げ、我々に対する仕打ちへのお返しをするためだ。」と答えた。

　彼らは困った。実のところは、彼らとしても自分たちを支配するペリシテ人は憎いし、密かにサムソンがしたことには喝采は送っているものの、このようなトラブルも困る。

　それで、彼らはペリシテ人たちにしばし待つよう申し入れて、言った。「我々を攻めるのは勘弁してほしい。その代わり、我々がサムソンを連れて来る。」

　ユダ人の集団がエタムの裂け目にいるサムソンのところに下っていき、言った。

　「我々はペリシテ人に支配されていることを知らないのか。何ということをしてくれたのだ。」

　サムソンは答えた。「彼らが私にしたのと同じことを、私は彼らにしただけだ。」

　彼らはサムソンに言った。「我々は、お前を縛ってペリシテ人の手に渡すためにやって来た。」

　サムソンは断った。

　だが、このままサムソンを引き渡さなければ、ペリシテ人が大勢のユダの人々を殺すことになることを、長老たちはサムソンに説いた。

　サムソンはしばらく考えていたが、言った。「条件によってはあなたたちに縛られてもよいが、１つ確認したい。あなたたちは私に害を加えないと誓ってくれるか。」

　彼らは答えた。「我々はただお前を縛って彼らの手に渡すだけだ。殺しはしない。」

　「よかろう。」　そうしてユダの人々は、サムソンを新しい２本の縄で縛り、岩から連れ出した。

（次回に続く）