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(2009-5-11) 士師エフタ part 9 （前回からの続き） それから２ヶ月、エフタの娘は、友達と出かけて山々を回った。草花を取ったり、鳥を愛でたりして過ごした。 一方のエフタは、悶々として過ごした。 （俺は、自分の娘を殺さなければいけないのか） 獣のように家の敷地を徘徊したりしては悩み抜いたが、まったく答えは出なかった。 先にも書いたとおり、古代においては神の力は絶大である。神が既に約束を果たしているのにエフタが裏切った場合、どういう意趣返しが待っているのか、エフタには想像がつかなかった。 （それほど、アンモン人に対する勝利は高くつくものなのだろうか） 神の要求がエフタにとってはあまりにも酷だった。だが、結局答えが出ないまま、２ヶ月が過ぎた。 娘はエフタに言った。「父さん。私を、犠牲として捧げてください。」 結局、エフタは自分の娘を山に連れて行き、犠牲をして捧げた − 神に対する、焼き尽くす捧げ物として。 アブラハムがイサクを捧げようとしたときには神はアブラハムを止めたが（(2007- 6-27) アブラハム、イサクをささげる 後編参照）、エフタを止める者はいなかった。 エフタの心中は知るよしもない。エフタは震えながら炎の前でひざまづき、ただただ、涙ばかりが流れた。 （次回に続く）
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