イスラムの歴史 (2008-1-11)

(2008-1-11)　召命　part 1

　ある日、モーセは羊の群れを連れて歩いていたところ、神の山、ホレブにたどり着いた（位置不詳）。ふと脇を見ると、柴が燃えている。羊に食事をさせている間、火を見ていたが、一向に燃え尽きる様子がない。

　「不思議な炎だ。一体、何だろう」

　モーセは炎に近づいた。その炎の中には主の遣いがいた。モーセが炎に近づくと、神がモーセに語りかけた。「モーセよ、モーセよ。」　モーセはびっくりして飛び退いた。再び神がモーセに語りかけた。「炎に近づいてはならない。履き物を脱ぎなさい。あなたの立つ場所は、聖なる場所だから。」

　モーセは怖ろしさのあまり、履き物を脱いで顔を手で覆った。神を直接見ることを恐れたのである。

　神は続けた。「私はあなたの祖先の神である。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。私はエジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、その叫び声を聞いた。私は彼らを救い出すべく、あなたをエジプトのファラオに遣わせる。あなたはエジプトに行き、イスラエルの民をエジプトから連れ出すのだ。」

　モーセはひれ伏して言った。「私は、何者でしょう。どうして私ごときの者がエジプトのファラオのもとに行き、イスラエルの人々を導かなければならないのでしょうか。」

　神は言った。「私は必ずあなたと共にいる。それこそが、あなたを遣わすしるしである。」

　モーセはさらに言った。「もし私がエジプトに行って、『あなたたちの神が私を遣わせたのです』と言えば、彼らは『その名は何か』と尋ねるに違いありません。なんと答えたらよろしいのでしょうか。」

　神は言った。「わたしはある。『わたしはある』という者があなたを遣わしたと言うがよい。」

（次回へ続く）