トップページに戻る

目次に戻る


(2007-10-31) ヨセフ(エジプト編) part 1

(前回からの続き)

 さて、エジプトまで連れてこられて、奴隷として売られたヨセフ。そのヨセフを買い取ったのは、ファラオの宮廷の役人で、侍従長のポティファルであった。

 ポティファルがヨセフを働かせてみると、これがなかなか賢い。しかもヨセフには神の加護があったので、仕事がことごとくうまく運ぶ。その様子をみたポティファルは、徐々に仕事を任せていった。家の管理を任せてみると、これが非常にうまく運んだ。ついには財産の管理まで任せてみた。すると、これまた神の加護があったので、ポティファルの家の財産はどんどん増えた。しかもヨセフは実直で財産を掠めるようなこともなかったので、ポティファルはヨセフを完全に信頼して、自分の家・財産の管理を全面的に任せた。

 

 かつ、ヨセフは美男子だった。そこに目を付けた女性がいた。ポティファルの妻である。「あなたって、素敵ね」 主人がいない所を見計らって、ポティファルの妻はヨセフに言い寄った。「ねぇ、私と寝ない?」 情熱的なポティファルの言葉も、ヨセフには通じなかった。「ご存じのように、ご主人様は私を信頼して家のことを任せてくださいました。私には、悪事は犯せません。」

 つれないヨセフの返事にも、彼女は諦めることはなかった。それから後の日々にも、彼女はヨセフに言い寄り続けたが、ヨセフは耳を貸さない。ついにある日、家にヨセフと彼女の二人きりになったとき、彼女はヨセフの着物をつかんで言った。「いいから、私と寝なさいよ。」 彼女がつかんではなさないものだから、ついにヨセフは着物を置き去りにして逃げた。

 こんなにも私の言うことをきかないとは。ついに彼女の怒りが爆発した。「誰か、誰か!!」家の者を呼ぶと、彼女は言った。「ご覧なさい。あのヘブライ人が私と寝ようとするものだから、私が大声を上げたら着物を残して逃げました。」

 「証拠の」着物を持って、彼女は夫が帰ってくるのを待った。

 

(次回へ続く)

 

←前の記事へ   次の記事へ→


Copyright(C)2007. Hidenori Tsuchikura. All rights reserved (Except some contents I write "this is other person's or organization's product.")