イスラムの歴史 (2020-03-21)

(2020-3-21)　ペルシア　vs　リュディア　part 4

（前回からの続き）

　だが、キュロスの考えは違った。確かにもうすぐ、冬が来る。だが、クロイソスが帰国し、軍隊を解散するであろう今こそ勝機と考えたのである。思いつくと、キュロスの動きは速かった。残存する兵力を率い、リュディアに侵攻したのである。キュロス襲来の知らせがクロイソスに届いてから、あまり時をおかずにキュロスが首都サルディスに迫ってきた。兵力は減少しているものの、敵が迫っている以上は戦わざるを得ない。ここで、クロイソスは野戦による決戦を選んだ。サルディスの前面にある平野に軍隊を展開したのである。

　両軍は平野で対峙したが、リュディアの騎馬隊を見て、ハルパゴス（例の、メディア国の家臣の叛乱を手引きしてキュロスと通じた人物。(2020- 2- 8)　アステュアゲス王とハルパゴス以下を参照）がキュロスに献策した。どのようにしたのかというと、荷駄として連れてきていたらくだの荷物を下ろし、そのらくだに騎兵を乗せ、らくだ部隊を編成したのである。このようにして、騎兵隊の一部をらくだ部隊に切り替えた。そして、らくだ部隊を先頭に展開し、その後に歩兵、最後に騎馬隊という順番で布陣した。

　戦闘に先立って、キュロスは兵士たちに指令した。刃向かうリュディアの兵士はことごとく殺してもよいが、クロイソスだけはたとえ抵抗を示したとしても殺さずに捕らえるように、と。

　戦闘が始まると、リュディア軍の騎兵隊の馬は、ペルシア軍のらくだ部隊のらくだの異臭を嫌い、逃げ始めてしまった。リュディア軍の騎馬隊が無力化されてしまったのである。このため、騎兵は馬から下りて、徒歩で戦闘に参加した。最後にはリュディア軍は敗走し、サルディスの城壁内に撤収。ペルシア軍による攻囲戦が始まった。

　戦争は長期化すると思われたが、偶然、一人のペルシア軍兵士が、警備兵のいない場所の登攀とうはんに成功し、突破口を開いた。そこは断崖になっている場所で、リュディア側の警備も手薄になっていた。あるときこのペルシア軍兵士は、一人のリュディア軍兵士が兜を落とし、降りてきてそれを拾い、またよじ登っていくのを偶然、目撃したのである。このルートを使って城内に侵入することにペルシア軍は成功。街を破壊し始めるとともに、クロイソスを捕らえた。

（次回に続く）

参考地図1-9-9：ペルシア vs リュディア（地域図）

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