イスラムの歴史 (2018-11-10)

(2018-11-10)　ヨヤキムの最期　part 1

　そして紀元前598年、ヨヤキムは死亡する。この経緯が、よくわからない。文献によってまるで異なるのである。

　聖書の列王記では単に「先祖とともに眠りに」ついたとしている。

　聖書の歴代誌では彼は青銅の足かせをはめられ、バビロンに引かれていったとしているが、列王記やエレミヤ書にそれを示唆する表現もなく、歴代誌のみがバビロンに連行されたとしていることから、次の王ヨヤキンの事件と混同しているのではないかと私は判断する。もし本当にバビロンに連行されたのだとしたら、エレミヤ書などでは「・・・だから彼はバビロンに連れ去られた」類いの記述があってもよさそうなものだが、そのような表現はエレミヤ書にも列王記にもない。

　聖書のエレミヤ書では、ヨヤキムの行いを非難した上で、こう述べている。

あなたの目も心も不当な利益を追い求め
無実の人の血を流し、虐げと圧政を行っている。

それゆえ、ユダの王、ヨシヤの子ヨヤキムについて主はこう言われる。
だれひとり、「ああ、わたしの兄弟　ああ、わたしの姉妹」と言って彼の死を悼み
「ああ、主よ、ああ陛下よ」と言って、悼む者はない。

彼はろばを埋めるように埋められる。
引きずり出されて投げ捨てられる
エルサレムの門の外へ。

　このようにエレミヤ書では、ヨヤキムの遺体は「ろばを埋めるように埋められる」とか「エルサレムの門の外へ投げ捨てられる」としているが、これは、エレミヤがヨヤキムに抱く憎悪が反映している印象が否めない。何しろ、エレミヤの書いたものがヨヤキムに燃やされているからである（(2018-10-13)　エレミヤ、巻物を燃やされる　part 4参照）。そして、これはあくまでも預言としての表現であって、出来事を記録した文章ではない。結果として何があったのかは、エレミヤ書には記述されてないのである。

（次回に続く）

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