イスラムの歴史 (2018-6-16)

(2018-6-23)　預言者エレミヤの召命　part 2

（前回からの続き）

　神の言葉がエレミヤに臨んだ。「あなたはこのところで妻をめとってはならない。息子や娘を得てはならない。」　結婚するな、子どもをつくるな、というのである。「・・・なぜでしょうか？」　エレミヤが聞くと、神は言った。「彼らは弱り果てて死ぬ。嘆く者も、葬る者もなく、土の肥やしとなる。彼らは剣と飢饉によって滅びる。その死体は空の鳥、野の獣の餌食となる。」

　さらに神は言った。「あなたは弔いの家に入るな。嘆くために行くな。悲しみを表すな。私はこの民から、私の与えた平和も慈しみも憐れみも取り上げる。身分の高い者も低い者もこの地で死に、彼らを葬る者はいない。彼らのために嘆く者も、体を傷つける者も、髪をそり落とす者もない。死者を悼む人を力づけるために、パンを裂く者もなく、死者の父や母を力づけるために、杯を与える者もない。あなたは酒宴の家に入るな。彼らと共に座って、飲み食いしてはならない。」

　神はまた、言った。「見よ、私はこのところから、お前たちの目の前から、お前たちが生きているかぎり、喜びの声、祝いの声、花婿の声、花嫁の声を絶えさせる。あなたが、この民にこれらの言葉をすべて告げるならば、彼らはあなたに、『なぜ主はこの大いなる災いをもたらす、と言って我々を脅かされるのか。我々は、どのような悪、どのような罪を我々の神、主に対して犯したのか』と尋ねるであろう。あなたは、彼らに答えるがよい。『お前たちの先祖が私を捨てたからだ。彼らは他の神々に従って歩み、それに仕え、ひれ伏し、私を捨て、私の律法を守らなかった。お前たちは先祖よりも、更に重い悪を行った。おのおのそのかたくなで悪い心に従って歩み、私に聞き従わなかった。私は、お前たちをこの地から、お前たちも先祖も知らなかった地へ追放する。お前たちは、そのところで昼も夜も他の神々に仕えるがよい。もはや私は、お前たちに恩恵をほどこさない。』」

（エレミヤ書第１６章第１節～第１３節）

　エレミヤとはどういう人物だったのか。エレミヤ書の冒頭に記されているところによると、「ベニヤミンの地のアナトトの祭司ヒルキヤの子」とある。アナトトは、(2011- 8-13)　アドニヤ派のその後　part 3で触れた場所である。かつてソロモンが王になった際、対立する異母兄アドニヤに荷担した祭司アビアタルを、死刑にはしなかったものの、アナトトへ放逐した。エレミヤはアビアタルの祭司グループの末裔が暮らす土地で生まれ育ったことになる。なお、アビアタルの血をさかのぼっていけば、預言者サムエルを見いだした祭司エリにまでさかのぼる。

　エレミヤはこの後、国の破滅を預言して民に警告し続け、時には弾圧されながらもエルサレムの破局（第一次捕囚・第二次捕囚）を経験し、その後、エジプトへ逃れていくことになる。すなわち、エレミヤの活動を追うことが、ユダ国の末期の一面をうかがうことにもつながるため、今しばらくはエレミヤの話も一つの軸として書いていきたい。

参考地図1-6-24：王位継承の争い～アドニヤ派のその後（再掲）

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